認知度向上から収益の最大化を図る「プロモーション動画」
企画力は伝達力となり、効果に直結する。
プロモーション動画の必要性や主な目的、制作のポイントを伝授します。
プロモーション動画とは
商品/サービスの販売促進や、企業の知名度向上を目的として制作される動画がプロモーション動画です。商品/サービスの魅力や優位性を打ち出し、認知度拡大から興味喚起を図ることで、直接的な売上拡大へとつなげていきます。多くのプロモーション動画は実写で制作され、テレビCMに使用される映像は媒体の尺に合わせ15秒/30秒で構成されています。
また、動画制作費や媒体費に莫大なコストを要するテレビCMは、従来までは大手企業しか手が出せませんでしたが、動画制作技術が向上したことで誰でも手軽に映像撮影/編集が可能になったこと、スポットCMとして使用できる媒体も増加したことから、近年では中小企業でも比較的手軽にテレビCMを放送できるようになりました。
人材不足を背景に、採用強化目的のプロモーション動画を制作する企業も年々増加しており、若年層向けのアニメーションで企業紹介を行うケースも見受けられます。
プロモーション動画はなぜ必要なのか?
企業が市場シェアを獲得するためには、商品/サービスや企業への信頼が不可欠です。そのため企業は、認知度向上のためにあらゆる活動を行っています。業界最大手と言われる企業も、設立当初は無名の企業です。事業活動を通じて社会に貢献し、その活動を不断の努力で継続し続けることで社会からの信頼を獲得して認知度を高め自社商品/サービスを普及していきますが、このような活動を強く後押しするのがプロモーション動画です。
プロモーション動画は、写真の7倍、文字情報の5,000倍もの情報伝達力があると言われ、短時間で多くの情報を直感的に伝えることができます。現代では、インターネット環境の充実に伴い、WebサイトやSNSなど、多くのプラットフォームで手軽に動画配信が可能な環境が整っているため、動画でのプロモーションは企業や商品/サービスの認知拡大に多大な影響を及ぼします。
またSNSは、情報拡散力に優れており、消費者から高い注目を浴びる動画はリツイートによって自然発生的に拡散されています。従来、商品/サービスや企業の認知度向上には多くのプロモーション費用と多くの時間を要していましたが、現代はその費用と時間を企画力で補うことができる時代となりました。 これらを実現可能なプロモーション動画は、企業にとって不可欠なコミュニケーションツールとなっています。
プロモーション動画はどこに公開すると効果的?
最も多く公開されるプラットフォームはホームページ(コーポレートサイト)です。TOPページやIR情報ページに動画を掲載し、消費者や投資家に動画の閲覧を促すことで、自社ブランドの発信を加速していきます。また、自社で開設するYouTubeチャンネルやInstagram/Facebook/XなどのSNSに公開することで、情報拡散効果も期待できます。
プロモーション動画の活用シーンは?
プロモーション動画が最も多く活用されるのは、動画広告です。代表的な動画広告には、テレビCM、YouTube広告、SNS動画広告などがあり、媒体ごとに動画の尺(長さ)やターゲティング精度、出稿期間や媒体費などが異なるため、目的や予算に合わせた媒体選定の必要があります。
また、プロモーション動画は日常的な営業活動においても、営業担当者のプレゼンテーションを後押しする強力な営業ツールとしての活用されている他、展示会出展時や採用イベントにおいての興味喚起ツールとして、来場者のキャッチアップなどでも活用されています。
プロモーション動画制作の主な目的
顧客の関心や購買意欲を促進し、自社の収益拡大を目的に制作される動画がプロモーション動画ですが、企業や組織が行うプロモーション動画制作の主な目的は、次の3つに集約されます。
認知度向上から優位性の構築
商品やサービスが市場で選ばれるためには、消費者ニーズに応える商品/サービスを企業が提供し、その独自性や優位性を消費者に理解される必要があります。そのために企業は、あらゆる手法を駆使して消費者とのコミュニケーションを図る訳ですが、認知度向上に絶大な効果を発揮する手段として、プロモーション動画の配信があげられます。
ユーザーの能動的なアクションがあって初めて情報提供の機会が得られるWebサイトや、タッチポイントの限られる紙媒体と比べ、プロモーション動画はテレビCM、Web CM、タクシーCM、SNS広告などに展開することで、消費者に受動的なコミュニケーションをとらせることができます。また、短時間で多くの情報を直感的に伝えることのできる動画は、視聴者の記憶にも残りやすいため、数少ないコミュニケーション機会であっても効果的な認知度向上をもたらします。
売上拡大に向けたキャンペーン
商品/サービスの販売促進に向けた期間限定のキャンペーン展開は、直接的な売上拡大をもたらす効果的なコミュニケーション戦略のひとつです。プロモーション動画でキャンペーンを発信する際は、プラットフォームとなるブランドサイトやECサイトをもれなく準備し、販売チャネルを設けることで、費用対効果の最大化を図ることができます。
但し、期間を限定した強力なキャンペーンには、ブランドの価値を大きく毀損する恐れもあるため、実施にあたっては慎重な検討が必要です。
ブランディングと採用強化
プロモーション動画は、一般的に商品やサービス、イベントなどを宣伝・広告するために制作される動画コンテンツとして定義されているため、採用動画としての分類は適当でないかもしれませんが、企業の知名度アップや企業イメージの改善にも多くのプロモーション動画(ブランディング動画)が制作されています。近年では、売上拡大ではなく採用強化・知名度アップを目的としたプロモーション動画も多数制作され、テレビCMやWeb CM、SNSなどで配信されています。
注目を集めるプロモーション動画 3つのポイント
1.とにかくおもしろい
2.「斬新さ」×「○○」
3.感情を揺さぶり心に響く
プロモーション動画は大きく分けて、①商品/サービスの特徴や優位性を直接プロモーションするストーリー構成 ②企業が提供する商品/サービスによって生まれる幸福や感動を描くストーリー構成 の2通りがあります。露出度を高め消費者の認知度を高めていくことが王道のプロモーション手法ではありますが、3つのポイントいずれかを演出することで、注目度の高いプロモーション動画に仕上げることができます。
1.とにかくおもしろい
世界中で数多のプロモーション動画が配信される中、消費者が最も注目するポイントは「おもしろさ」にあると言えます。テンポの良いBGMや起承転結のあるおもしろ動画は、視聴者に強烈なインパクトを与えます。話題を生み出し、口コミやSNSでの拡散を自然発生させることで、結果としての売上向上に寄与します。
おもしろ動画はマスメディアやWebメディアも注目しており、話題性の高い動画はテレビ番組や特集で取り上げられるなど、さらなる情報拡散から大きな反響を生み出します。
Dress MAX CM「ウエディングドレス買取」
※出典:YouTube
2.「斬新さ」×「○○」
おもしろさとは別に、シナリオ構成やキャスティングの斬新さも注目要因です。そこに「懐かしさ」「愚直さ」など何らかが掛け合わされた動画は、視聴者の驚きや感動などを生み出し、大きな話題を巻き起こしています。
ガリガリ君CM「値上げ」篇
※出典:YouTube
3.感情を揺さぶり心に響く
数十秒から数分の短尺動画には、セリフの有無に関わらず大きな感動を与えるプロモーション動画が多数制作されています。感動のストーリーは意識の奥底に深く刻まれ、無意識に企業ブランドへの好感度が高まっていきます。
amazon CM「犬・ライオン」篇
※出典:YouTube
効果的なプロモーション動画制作 10のポイント
効果的なプロモーション動画を制作するには、プロモーション動画ならではの留意すべきポイントがあります。ここではプロモーション動画制作時の留意すべきポイントを10点に絞りご紹介します。
1.プロモーション動画制作の目的を明確化する
2.コアターゲットを設定する
3.訴求ポイントを絞り込む
4.要点を端的にまとめる
5.構成にメリハリを持たせる
6.視聴者の興味/関心を高め共感を生み出すストーリーに
7.視聴者の喜怒哀楽に訴えるBGM/SEを起用する
8.配信する広告媒体の特徴に配信動画を適応させる
9.動画の尺(長さ)はできるだけコンパクトに
10.配信後の効果検証から改善を図る
1.プロモーション動画制作の目的を明確化する
プロモーション動画は認知度向上に大きな役割を果たしますが、プロモーション動画に使用する動画の企画/制作にあたり、まずは動画制作の目的を明確化する必要があります。目的例としては、商品/サービスのブランド認知度やブランドイメージの向上、商品/サービス理解の深化、直接的な売上拡大などがあげられます。
2.コアターゲットを設定する
年齢、性別、職業、家族構成、居住地、趣味・趣向など、プロモーション動画で訴求する商品/サービスのコアターゲット像(ペルソナ)を設定することで、より深くリーチするプロモーション動画を制作することができます。マス向けの商品/サービスであっても、意思決定者のKBF(購買決定要因)に深くアプローチすることが重要であるため、すべての消費者がターゲットだとしてもコアターゲットの設定が不可欠です。
3.訴求ポイントを絞り込む
商品/サービスには多くの魅力があり、消費者のKBF(購買決定要因)も様々ですが、訴求ポイントの多いプロモーション動画は逆に視聴者の印象に残りづらく、同業他社との違いが明確に伝わりません。大切なのは、訴求ポイントを絞り込むこと。多くても最大3つ程度までとすることが求められます。
4.要点を端的にまとめる
動画制作の目的を定め、コアターゲットを設定し、訴求ポイントが絞り込まれたら、伝えたい要点を端的にまとめていきます。短時間で視聴者に強く印象付けるためには、短いフレーズで商品/サービスの魅力が伝わるようシナリオを構成することが大切です。
5.構成にメリハリを持たせる
起承転結のないプロモーション動画では、視聴者を飽きさせてしまいます。シナリオを構成の際は、冒頭でテーマを起こし、次いでテーマを発展させ、場面や視点を転じて、最後に全体を締め括るといった起承転結のある構成であることも大切です。
6.視聴者の興味/関心を高め共感を生み出すストーリーに
SNSシェアさせるなど、さらに効果を高めるためには、視聴者の興味/関心を高めて共感を生み出すストーリーが必要です。プロモーション効果の最大化に向け、商品/サービスを軸としたストーリーで喜怒哀楽を刺激することも忘れてはなりません。
7.視聴者の感情に訴えるBGM/SEを起用する
ストーリーと密接に関係してくるのが、人の心を短時間で動かすために不可欠となるBGM/SE(効果音)です。BGM/SEは動画の印象に大きな影響を与えるため、動画で表現するストーリーに最適なBGM/SEを慎重に選定する必要があります。
8.配信する広告媒体の特徴に配信動画を適応させる
プロモーション動画を配信する主な広告媒体は、テレビCMや動画配信プラットフォームのYouTubeをはじめ、Instagram/Facebook/X/TikTokなどがあげられますが、広告媒体そのものの特性や種類に合わせて動画の最適化を図ることも大切です。
9.動画の尺(長さ)はできるだけコンパクトに
ニュースサイトやSNS、音楽や映画/ドラマなど、新しい情報が発信され続ける現代社会において長尺動画は「貴重な時間を大量に浪費するもの」として忌避される傾向にあります。長尺になるほど最後まで試聴される確率は低下するため、Webマーケティングを目的とする動画の場合、できるだけコンパクトにまとめることが大切です。
10.配信後の効果検証から改善を図る
Web CM配信後には効果検証を行うことが大切ですが、視聴回数、視聴完了率、クリック数、クリック単価、コンバージョン数など、各種データに基づく課題抽出は、仮説立案からの検証となるため、的確な改善までには多くの時間を要します。
そこで活用されているのがA/Bテストです。2本のWeb CMを同時配信し、相対評価を行うことで改善を繰り返していきます。年間を通してWeb CMを配信するのであれば、A/BテストはROIの最大化に最適な検証方法であるといっても過言ではありません。
プロモーション動画 制作事例5選
商品/サービスの認知度拡大に向けたプロモーション動画の制作事例5選をご紹介します。
1.株式会社エレクトロニック・ライブラリー|モーニングクリッピング®
注目の新聞記事をクリッピングしてくれるサービス「モーニングクリッピング®」紹介用のプロモーション動画制作事例。多忙なビジネスマンにも目を留めてもらえるよう、アテンションのある動画として企画・制作しました。ストーリーはタクシーの乗客目線で展開。突如助手席から話しかけられる演出で注目を惹き付けた後「モーニングクリッピング®」のメリットを視聴者に向けアピールします。
株式会社エレクトロニック・ライブラリー|モーニングクリッピング®
2.ケミコスクリエイションズ株式会社|リキッドアイライナー
高品質のアイライナー制作を支える3職種(営業職/開発職/研究職)の社員インタビューで伝えるケミコスクリエイションズ株式会社のプロモーション動画制作事例。ビジネスパートナーとしてお客様に寄り添う姿勢や、容器・中身ともにまだ市場にない製品をつくる開発力、リキッドアイライナーに特化して処方開発を追求し続ける高い技術力を知的なトーンで伝えています。営業先で見せる目的で再編集した約1分のショートバージョン動画は、信頼、期待を抱かせる企業広告の役割を持たせるようテロップも工夫し、よりスピーディに同社の強みを印象付ける動画に仕上げています。
ケミコスクリエイションズ株式会社|リキッドアイライナー
3.コネクシオ株式会社|ソリューション事例
自社が提供するソリューションや提案力をリアルに伝える、導入事例動画を制作。ただソリューションを紹介するだけでなく、お客様や担当の営業マンの声を交え、お客様の課題や導入までのやり取りがリアルに伝わる構成にしています。導入の意思決定者である代表、業務部と営業部の方には、導入前の課題と導入後の効果を伺い、コネクシオの担当営業マンには提案のアプローチや今後の展開についての取材を実施。ソリューションの特長をわかりやすく紹介するとともに、自社の営業力や提案力が伝わるプロモーション動画にまとめ上げました。
コネクシオ株式会社|ソリューション事例
4.辰野株式会社|ESD Guardian UNIFORM
静電気放電機能を持ったユニフォーム「ESDガーディアン」の特徴を紹介するアニメーション動画制作事例。導入ではこのユニフォームがなぜ必要なのかを解説し、高い機能性と環境に優しい素材の特性をアバターがコミカルに説明するストーリーを構成しました。打ち合わせを重ねて適切なキャラクターを設定し、視聴者が商品名を調べる動機付けとなる商品紹介動画に仕上げました。
辰野株式会社|ESD Guardian UNIFORM
5.キングソフト株式会社|WPS Cloud
教育業界向け展示会への出展時、ブース内の大型モニターで上映するプロモーション動画の制作事例。教員役のナビゲーターがクラウド型オフィス互換ソフト「WPS Cloud」が導入された学校現場を案内する構成を企画し、90秒という短い尺で「WPS Cloud」の魅力を伝えるシナリオを制作。児童・生徒の創造力を伸ばし、みんなで協働する力を育めることを、分かりやすいキャッチーなアバターアニメーションで表現しています。
キングソフト株式会社|WPS Cloud