ブランディングを分かりやすく解説
ブランディングって、何のために何をするの?
ブランディングの目的や具体的な施策を分かりやすく解説します。
ブランディングとは
ブランディングは一言でいうと「他社との差別化」という意味で、ブランドを創り、そのブランドを世間に浸透させるすべての取り組みを指しています。ブランディングをさらに細分化すると、次のような分類に分けられます。
◉企業ブランディング
企業らしさをつくる取り組み。企業ブランディングは、理念体系の中核にある「パーパス」、自社の方針を示唆する「ミッション、ビジョン、バリュー」、すべての従業員に共有する行動規範「クレド」、ステークホルダーとの共通概念「コンセプト」など、企業の方針を明確な言葉で定義するブランドメッセージ開発の取り組みから始まり、次いでVIの基準となるロゴやレギュレーションを制作します。その後、Webサイトや会社案内、動画など、企業ブランドを伝えるコミュケーションツールのデザイン統一を図ります。
◉事業ブランディング
事業の優位性を伝えるための取り組み。事業ブランディングは、すべてのステークホルダーと共有するための「コンセプト」づくりから始まり、次いでVIの基準となるロゴやレギュレーションを制作します。その後、Webサイト、動画、パンフレットなどのブランドコミュニケーション統一を図り、ターゲットへのアプローチに備えます。
◉商品ブランディング
商品の特長や違いを具現化する取り組み。商品ブランディングは、商品コンセプトの定義・言語化から始まり、商品の特徴を容器やパッケージとしてデザインしていきます。また、WebサイトやSNS、商品カタログやパンフレットなど、商品の魅力をあらゆる角度から統一したブランドイメージで訴求できるよう、デザイン統一を図ります。
◉採用ブランディング
自社で働く魅力を具現化する取り組み。採用ブランディングは、採用コンセプトの定義・言語化から始まり、企業の魅力が求職者に強く正しく伝わるよう、採用サイト、採用パンフレット、採用動画、採用ポスターなどのコミュニケーションデザインを統一していきます。
◉インナーブランディング
企業文化を形成し、社員のモチベーションを高める取り組み。企業ブランディングの延長線上にあり、ブランドメッセージ開発時には社員のワークショップやアンケートを行い意見を抽出するなど、会社全体の取り組みを自分ごと化することで、組織の一体化を図ります。理念浸透や企業文化・風土の育成には時間を要するため、クレドブックやブランドブックでの継続的な啓蒙活動や、定期的なイベント実施、教育・評価制度・福利厚生の改善を行うなど、多角的な施策から従業員満足度(ES)を高めていきます。
◉パーソナルブランディング
個人のイメージづくりを行う取り組み。ある一定分野に特化し、自身の得意分野や個性を打ち出すことで必要とされるよう仕向けていきます。取り組みでは、自身の得意分野や興味の持てる分野を棚卸して整理し、目標を定めます。次いでペルソナ設定を行い、キャッチフレーズ開発や現在に至るストーリーを言語化。現在と目標までの乖離を埋めていきます。以降、SNSやブログなどでの継続的な発信を行うことで、個人の印象を植え付けていきます。
ブランドを形成する要素
ブランドを形成する要素には、次のようなものがあります。
◉ブランド名
企業名、商品名、サービス名など、ブランド名はブランドを識別するために最も重要な要素です。文字、図形、記号、立体的形状、色彩またはこれらの結合、そして音などの商標登録が可能で、日本では商標法で守られています。
◉ブランドカラー
ブランドカラーは、特定の色や配色だけでブランドを想起させ、その世界観を感じさせることのできるイメージカラーです。ブランドの印象の多くはブランドカラーとして認識されており、ロゴと一体化することでブランドシンボルとなります。
◉ブランドロゴ
ブランドロゴは、ブランドの特徴を落とし込み図形化したシンボルマークです。ロゴには図形化したロゴマークとロゴタイプがあり、単独で使用する場合とマークと組み合わせて使用する場合がありますが、いずれも商品・サービスの独自性を示したり、安心の品質を保証する役割を担っています。
◉サウンドロゴ
特定の効果音やメロディを使い、企業や商品名を宣伝する楽曲です。歌詞や固有名称がなくても、楽曲を聞いただけでブランド想起させることができるのが特徴です。有名なサウンドロゴにはNetflixを視聴する際に流れる「ダダーン」や、マクドナルドのCMなどで耳にする「たらったったー」などがあります。
◉タグライン(スローガン)
企業や商品名の前後に入り、キャッチフレーズやスローガンとして使用されるメッセージです。有名なタグラインにはNIKEの「JUST DO IT.」や、マクドナルドの「I’m lovin’ it」などがあり、消費者に企業イメージを刷り込むためのメッセージとして使用されています。
◉MVV
MVVは企業が掲げる理念「ミッション(Mission)、ビジョン(Vision)、バリュー(Value)」の略称です。企業の存在意義や目的を言語化したミッション、目指す理想の姿を言語化したビジョン、そして企業の価値観や価値基準を言語化したバリュー。MVVは全従業員にとっての道標であり、心の拠り所として位置付けられます。
◉その他
商品ブランディングでは、商品パッケージそのものがブランドを形成する重要な要素であったり、プロモーションに活用されるキャラクターがブランド認知を促すシンボルとなったりします。ブランディングはブランドを浸透させるすべての取り組みを指すことから、あらゆる取り組みがブランドを形成する要因であると言えます。
ブランディングにはどんなメリットがあるの?
ブランディングしたら儲かる。という単純な事ではありません。
冒頭でお伝えした通りブランディングは、「他社との差別化」から世の中へ浸透させるためのすべての取り組みとなり、結果として次のようなメリットを生み出します。
1. 信頼関係の構築
2. 企業(商品)価値の向上
3. 優秀な人材の獲得
4. 離職率の低下
5. 単純な価格競争の回避
6. 業務効率の改善
7. 企業文化の醸成
詳しくは以下をご参照ください。
ブランディングがもたらす7つのメリット
ブランディングのデメリットは?
一方、ブランディングのデメリットを考えてみると、ブランディングをしないことによるデメリットはあっても、ブランディングによりデメリットは生じないと言えますが、ブランディングという施策の特性上、考えられるハードルには次のようなことがあげられます。
◉コストがかかる
ブランドを形成する要素の開発や、ブランド浸透に向けた取り組みなど、ブランディングにはあらゆるコストが生じます。プロモーションと違い、費用対効果を直接的に図る取り組みではないため、中長期を見据え他社との差別化を図るための先行投資と言えます。
◉時間がかかる
ブランド開発までの時間はもちろん、ブランドをロンチし認知を広めるには長い期間を要します。市場のトレンドにより爆発的な普及を成し遂げたブランドも存在しますが、原則として中長期を見据えた継続的な取り組みが不可欠だと言えます。
ブランディングを成功させる7の姿勢
企業資産がある、商品力があるなど、自社優位性が多に越したことはありませんが、ブランディングを成功させるには、それ以前に必要な要因が多く存在します。次の一例はあくまでもブランディングを行うプロデューサーとしての主観ですが、ブランディングに取り組む企業担当者のみなさまにお持ち頂きたいポイントです。
1. 真剣に向き合う
ブランディングは企業の未来をつくる最重要プロジェクトのため、プロジェクトに参加されるメンバー全員が真剣に向き合うことが大切です。
2. 熱い思いがある
自社を良くしたい、良い商品を世間に広めたいなど、ビジネスだけに捉われない熱い思いがあることで、ブランディングはより良い方向へとスパイラルします。
3. 一緒に考える
技術面や専門的な知識は、自社メンバーの方が一番深く・詳しく情報を持ち合わせています。そのため、一緒に考えディスカッションを図ることが大切です。
4. 周りの意見を聞く
ブランドは自分一人で運営できるものではありません。周りの意見に耳を傾け、多くの意見を踏まえたうえで取り組むことで、組織が一丸となってはじめて、ブランディングに取り組むことができます。
5. 相手を尊重する
人は誰でも思い込みがあるものです。自分の意見に固執せず、相手の意見に耳を傾け尊重し、俯瞰した立場でプロジェクト進行を図ることで、より魅力的なブランド創りにつなげることができます。
6. 自分の意見を伝える
百人百通りの考え方と意見があります。ブランディングでは、他人の意見に流されず、プロジェクトメンバーそれぞれが自分の意見を持ち寄り、ディスカッションを交わすことが大切です。
7. 途中で諦めない
どんなハードルが生じても、最後までやり切ること。課題には解決策で取り組み、目標達成に向けたブランド開発を行うことで、新たな一歩を踏み出すことができます。
ブランディングの手順と取り組み
ブランド開発は、着手からご納品まで最短6ヶ月から通常1年程度を有するプロジェクトになります。必要な時間をしっかりと設け、意見抽出からディスカッションを繰り返し行うことではじめて、社員のみなさまにも腹落ちする確かなブランドメッセージと、自社らしさを具現化したコミュニケーションツールをデザインすることができるため、ブランディング着手の際は手順と取り組みを正しく理解し、余裕を持ったスケジュール組みを行ってください。
1.ヒアリングシートご記入
↓
2.オリエンテーション
↓
3.社員アンケート(企業ブランディングの場合)
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4.PJメンバーとのワークショップ(企業ブランディングの場合)
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5.ブランドメッセージ開発
(1)パーパス
(2)MVV
(3)ブランドコンセプト
(4)タグライン(スローガン)
(5)ブランドストーリー
(6)ブランドヒストリー
6.ブランドロゴ開発
↓
7.VIガイドライン制作
↓
8.名刺・封筒・ppt資料などのデザイン制作
↓
9.Webサイト制作
(1)コーポレートサイト
(2)採用サイト
(3)ブランドサイト
(4)サテライトサイト
(5)ECサイト
(6)イントラネットサイト
(7)ポータルサイト
↓
10.パンフレット作成
(1)会社案内パンフレット
(2)採用案内パンフレット
(3)営業用パンフレット
(4)製品カタログ
↓
11.動画制作
(1)ブランド動画
(2)会社案内動画
(3)採用動画
(4)サービス紹介動画
(5)プロモーション動画
↓
12.プロモーション
(1)Webマーケティング
(2)TV/ラジオ/新聞/雑誌広告
(3)展示会・イベント出展
(4)OOH/交通広告
(5)DM/チラシ配布など
最後に
インターネットを介して、あらゆる情報取得や購買が可能な現代において企業は、B2B、B2C、D2Cビジネスの如何を問わず、世界中のライバルを視野に入れたブランディングの必要性に迫られています。
また、これからの時代、商品力だけでなく、企業姿勢や取り組み、製造工程におけるサステナビリティなど、多くの消費者に認めて頂けることではじめて、企業は成長へのロードマップを描くことができる時代となります。故に、自社のブランド価値を正しく言語化するとともに具現化し、消費者にいかにそのブランド価値を伝えるかが重要です。
どなたにも分かりやすく、丁寧なブランディング、そして確かなブランドづくりを行います。ブランディングは、私たちパドルデザインカンパニーにご相談ください。