情報をデザインすることで、製品価値向上を図る。

製品カタログ制作時の留意点や種類、作成の流れ、制作事例などをご紹介します。

Introduction

製造業のカタログ作成

製造業にとって製品カタログは、自社製品の特徴を伝え、商談を成功へと導く重要なプレゼンテーションツールです。特にB2B(Business to Business)ビジネスを行う製造業の場合、自社製品の強みや他社製品との違いの訴求に製品カタログが重要な役割を担うため、訴求力のある製品カタログが必要不可欠だと言えます。

自社優位性を伝えるキャッチコピーやボディコピーなどの文言をはじめ、製品ラインナップやスペック表、機能訴求アイコン、製品概念図など、自社製品の魅力をできる限り直感的に伝えると共に、信頼のブランドをデザイン面からも訴求することで、単純な価格競争を回避する製品カタログが求められます。

バイヤーに向けたB2C商品カタログ制作時の留意点

小売店舗向け商品カタログの場合、そのターゲットは卸業者や店舗担当者などのバイヤーとなりますが、あらゆる業界で熾烈な競争が繰り広げられるB2C製品の場合、いかにして自社商品の魅力をバイヤーに伝えるかが市場シェア獲得の重要なポイントとなります。

バイヤーは売れる商品を求めており、商品カタログやパッケージデザインから製品特徴やブランド価値を見極め、商品の取り扱いを決定していくケースも多くみられることから、商品ラインナップやスペックの掲載はもちろんのこと、ブランドの世界観を重視した商品カタログが不可欠になると言えます。

事業者に向けたB2B製品カタログ制作時の留意点

事業者向け製品カタログの場合、そのターゲットは業種により多岐に渡りますが、多くが専門知識を有する技術者や現場責任者となるため、いかにして自社製品の品質や安全性、メンテナンスや保証内容などの優位性を包括してアピールできるかが商談成立の重要なポイントとなります。

企業担当者は、自社に必要な製品スペックや安全性に加え、トラブル時の対応力や価格優位性など、企業・製品としての総合力から購買を判断するため、B2B製品カタログ制作時には、製品情報だけでなく、企業力や付帯サービスなど包括的な情報掲載が不可欠になると言えます。

ブランドイメージを統一する

製造業の場合、企業によっては多数の製品カタログや総合カタログの他、会社案内や営業ツール、パワーポイントなどで制作したプレゼン資料など、多くの紙媒体を活用されているケースも珍しくありません。その際大切なのは、「ブランドイメージが統一されている」こと。

製品カタログや会社案内、営業ツールなどのブランドコミュニケーションにブレがあると、その企業のブランドイメージがいつまでも確立されないばかりでなく、ブランドイメージを大きく損なう可能性があります。

製品カタログやパンフレット、ホームページ、名刺・封筒・プレゼン資料に至るまで、コミュニケーションツールをデザインする際は、ブランドのVI(ビジュアル・アイデンティティ)を統一し、一貫したブランド訴求を行うことが大切です。

製造業で主に使用する製品カタログの種類

製造業で使用される製品カタログには、プレゼンテーションに最適化された「製品パンフレット」の他、製品の魅力を深掘りして伝える「製品カタログ」、製品ラインナップをもれなく伝える「総合カタログ」などがありますが、用途・目的に応じた製品カタログを理解することで、訴求力の高い製品カタログに仕上げることができます。ここでは、製造業で主に使用される製品カタログの種類をご紹介します。

製品の特長や違いを訴求する「製品案内パンフレット」

製品に関する情報を深掘りし、要点を明確に伝えるとともに、詳細情報まで提供する役割を担うのが製品案内パンフレットです。新規顧客や取引先はもちろん、潜在顧客、販売代理店や販売員、及び一般の方など、様々な対象者に製品の特長やメリット・ベネフィットを伝えるために活用されます。

製品案内パンフレットは、販促活動や営業活動において非常に重要なコミュケーションツールであり、購買意欲を刺激する役割を果たすことから、デザインやメッセージ訴求に工夫を凝らすなど、効果的な情報訴求が不可欠です。

製品スペックを細部まで伝える「製品カタログ」

製品の特徴や仕様、価格、利用方法、付属品、保証条件など、製品やサービスに関する情報をまとめ、自社製品の優位性を訴求する役割を担うのが製品カタログです。顧客または潜在顧客に対して自社製品の理解を深め、購買意欲を喚起するために活用されます。

製品カタログ制作時は、ターゲットが容易に理解できるよう、クリアでわかりやすい情報整理を行うと同時に魅力的なデザイン・レイアウトでまとめ、問い合わせやご相談への明確な動線設計を行うことで、売上に寄与する製品カタログに仕上げることが大切です。

製品ラインナップをもれなく伝える「総合カタログ」

企業や組織が提供する製品やサービスを包括的にまとめ、一覧するためのカタログが総合カタログです。総合カタログには製品やサービスを横断して総合的な情報掲載がされるため、ユーザーの求める情報への直感的な検索性が求められます。

また、多くの製品ラインナップを比較・検討できるよう、製品やスペックの一覧表を掲載し、その違いが一目でわかる工夫も必要です。総合カタログは、製品やサービスの全体像を俯瞰して訴求することができるため、営業活動において重要な役割を果たすコミュニケーションツールであると言えます。

近年では、オンライン環境でも閲覧できるよう、Webカタログなどのデジタルフォーマットでも提供されることも一般的となっています。

製造業のカタログ作成の流れ

製造業のカタログ作成は、オリエンテーションを経て、企画・コンセプト開発、デザイン制作、取材・写真撮影、イラスト制作、色校正、印刷の順で実施します。制作着手からご納品までの大まかな流れは次の通りです。

1.製品・サービスを深掘りして理解するオリエンテーション

オリエンテーションを通し、製品を取り巻く外部環境(市場/競合/顧客など)、内部環境(企業理念/MVV/経営方針など)、企業・事業・製品の特徴や強みを把握します。企業・事業・製品・サービスなど、ブランドの優位性を深く理解することで、ベストな提案ができるよう準備を整えます。

2.製品カタログの中核概念となる企画・コンセプト開発

製品カタログ作成において、制作の中核概念となるのが企画・コンセプトです。オリエンテーションフェーズにおいて明確化されたターゲット・セグメントに向け、製品の魅力や独自性、サービス優位性を伝えるためには、どのような製品カタログであるべきかを初期段階で策定していきます。
ここで決定した企画・コンセプトは、製品カタログ作成に関わるすべてのスタッフの共通概念として定義され、以降すべてのプロセスにおいての判断基準となっていきます。

3.企画・コンセプトの具現化、カタログデザイン

用途・目的に応じた企画・コンセプトの具現化に向け、要点の抽出からメッセージの言語化を行い、カタログデザインを制作していきます。カタログデザインにおいて大切なのは、伝えたいことが直感的に伝わるシンプルなデザインであること。ブランドの世界観を伝えると共に、伝えたいことが正しく伝わるカタログデザインを目指します。

4.オリジナルコンテンツの開発、取材・写真撮影

カタログデザインが概ね決定した後、取材・写真撮影を実施し、これまでダミーで進めた情報をオリジナルコンテンツに差し替えていきます。取材の対象となる主なコンテンツには、代表メッセージ、お客様の声、開発者インタビューなどがあり、専任のライターがインタビューを通して引き出していきます。
写真撮影では、製品や製造風景などを企業PRの第一線で活躍するカメラマンが撮影し、製品の魅力がより深く伝わるようワンランク上の写真素材に仕上げていきます。

5.情報を補足しデザイン性を高めるイラスト制作

文字情報や写真だけでは伝えきれない情報をさらに分かりやすく補足するためのイラスト制作を行います。デザインにイラストが挿入されることで、直感的な理解が可能となるため、概念図やエビデンスなどはイラスト訴求が特に効果的だと言えます。

6.印刷前の最終確認、色校正

デザイン校了後は、印刷前の色校正工程へと進行します。色校正には色校正用の専用用紙に出力する「プルーフ(簡易色校正)」、実際の印刷用紙に出力する「本紙色校正」、実際の印刷用紙を用いて実際の印刷機で試し刷りをする「本紙・本機色校正」の3種類があり、事前確認で求める色の精度によりどの色校正が必要かを判断しご提案させて頂きます。

7.カタログ印刷・製品のご納品

色校正にて最終調整のうえ最終校了を頂いた後、カタログの印刷・加工工程へと進行します。製品完成後は適量での梱包を行い、ご指定先へとご納品させて頂きます。

製造業のカタログ制作事例

前に進み続ける人へ。

車椅子ブランドのネーミング開発から携わり、ブランドコンセプトの開発を経て「NACTUS」カタログの制作を実施。車椅子をスタイリッシュかつポジティブに演出することで、上半身を自由に使えるユーザーがよりアクティブに活動できる様をデザイン表現しました。
情報量の多くなるカタログページは訴求ポイントを絞り込むことで、読みやすさを担保。製品の特徴である豊富なカラーセレクトや多彩なオプションを写真とともに伝えることで、購買意欲を掻き立てる製品カタログに仕上げました。

製造業のカタログ制作事例vol.1|日進医療器株式会社

凍らせるというより、眠らせる。

アルコール凍結のパイオニア「凍眠」の製品カタログでは、製品特徴やサービス優位性から、選ばれる理由を明確に言語化。鮮度やおいしさを直感的に伝えるビジュアル構成を考案し、「凍眠」の可能性を伝えています。本製品の導入に向けた後押しをするカタログになるよう、シンプルかつスタイリッシュなデザインで、見やすさと伝わりやすさを重視したカタログに仕上げました。

製造業のカタログ制作事例vol.2|株式会社テクニカン

業界最小43dB

屋外用の発電機のパイオニアとして、世界100カ国以上の国々で愛用されている発電機メーカー「Denyo」。そんな同社の新製品の特徴は業界最小クラスの静音性。表紙は音量の単位表示のみのデザインで圧倒的な静かさを訴求しました。
また、静かさを表現するため、カラーリングやレイアウトなどデザインの細部に至るまで追求しました。

製造業のカタログ制作事例vol.3|デンヨー株式会社

暮らし方が見えてくる窓えらび。

リクシルの主力商品の一つである「窓・シャッター」のお客様向けカタログの制作事例です。従来までスペック紹介中心であったカタログデザインを一新し、「窓のある暮らしをつくる人たち」にフォーカスした記事コンテンツを制作。窓にこだわり設計した施工事例を紹介するほか、「窓選びのHow to」ページを設けました。可能な限り専門用語を排除し、ユーザーにわかりやすい製品カタログに仕上げました。

製造業のカタログ制作事例vol.4|株式会社LIXILグループ

このサウンド、重低音の限界へ。

コアな客層に絶大な支持を得ている高級オーディオメーカー、ラディウス株式会社の製品カタログ制作事例です。Bluetooth対応のワイヤレススピーカー発売に伴い制作した製品カタログでは、既存のワイヤレススピーカーと比較して、力強い重低音が表現できるという商品の優位性を考慮し、落ち着きあるブラック背景に商品写真を大きめに配置。重低音の力強さをデザイン表現しました。

製造業のカタログ制作事例vol.5|ラディウス株式会社

クリエイティブチーム

パドルデザインカンパニーには、プロジェクト全体を統括するプロデューサーやブランディングディレクターをはじめ、コピーライター、エディトリアルライター、アートディレクター、ブランドデザイナー、Webデザイナー、映像ディレクターなどが在籍し、プロジェクト毎に最適なチーム編成を行うことでブランドを最適解へと導いていきます。

記事制作/プロデューサー

ご相談や課題を受け、実施プランの策定やプロジェクトの大まかなスケジュールなどを策定します。また、プロジェクトのゴール設定やマーケティング環境分析、市場分析などを行い、市場で勝ち抜くブランド戦略提案などを行います。

>Producer
CEO 豊田 善治

東京港区のブランディングカンパニー

パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。