
30
リブランディングとは?成功事例に学ぶブランド再構築のポイント
リブランディングで、選ばれる理由をつくる。
リブランディングの意味、手順、費用相場、成功・失敗事例までをBtoB向けに網羅解説します。
リブランディングで「選ばれる理由」を再定義する実践ガイド
「売上は安定しているのに、なぜか新規顧客が増えない」「採用活動で若手人材が集まらない」「競合と価格で比較されてしまい、価値を正当に評価されない」──もしあなたの会社がこうした課題を抱えているなら、それはブランドの賞味期限が近づいているサインかもしれません。
リブランディングとは、企業やサービスが持つ既存のブランド価値を再定義し、時代や市場の変化に合わせて「選ばれる理由」を再構築する経営戦略です。単なるロゴ変更やWebサイトのリニューアルではなく、企業の存在意義(パーパス)から見直し、社内外のステークホルダーに一貫したメッセージを届けることで、売上向上・採用力強化・価格競争からの脱却といった具体的な成果につなげることができます。
本記事では、リブランディングの基本的な意味から、実践ステップ、費用相場、成功・失敗事例まで、BtoB企業のマーケティング担当者が押さえるべきポイントを網羅的に解説します。
「自社でリブランディングを進めるべきか判断がつかない」「どこから着手すればいいかわからない」という方は、まずは無料相談をご活用ください。貴社の現状をヒアリングし、リブランディングの必要性と最適なアプローチをご提案いたします。

リブランディングとは?言葉の意味と定義を簡単に解説

リブランディング(Rebranding)とは、「再び」を意味する「Re」と「ブランド構築」を意味する「Branding」を組み合わせた言葉で、日本語では「ブランド再構築」「ブランド再生」とも訳されます。
具体的には、企業やサービスが持つ既存のブランド資産(知名度・顧客基盤・信頼性など)を活かしながら、ブランドの提供価値・ポジショニング・ビジュアルアイデンティティを戦略的に再定義し、市場や顧客との新たな関係性を構築する取り組みを指します。
【リブランディングの定義】
リブランディングとは、既存のブランドの価値や方向性を再定義し、再構築する経営戦略。企業の理念や提供価値、ターゲット顧客、市場環境の変化に合わせて、ブランドの「中身」そのものをアップデートし、ブランド資産を活かしながら新たな顧客層の獲得や事業の持続的成長を目指す。
重要なのは、リブランディングは「見た目を変えること」ではないという点です。ロゴやWebサイトのデザイン変更はあくまで「手段」であり、本質は「なぜその企業・サービスが存在するのか」という根本的な問いに立ち返り、提供価値を再定義することにあります。
ブランディングとの違い:ゼロからの構築か、既存資産の刷新か
ブランディングとリブランディングの最大の違いは、「出発点」にあります。
ブランディングは、新規事業や新サービスの立ち上げ時に、ゼロからブランドのアイデンティティを構築する活動です。ターゲット顧客の設定、競合との差別化ポイントの明確化、ブランドコンセプトの策定、ビジュアルアイデンティティの開発などを一から行います。
一方、リブランディングは、すでに市場で認知されている既存ブランドを「再構築」する活動です。これまで築いてきた顧客基盤や信頼性といったブランド資産を活かしながら、時代や市場の変化に適応するための戦略的な刷新を行います。
《ブランディングとリブランディングの違い》
◉ブランディング
・出発点:ゼロからの構築
・主な目的:新規ブランドの確立
・タイミング:新規事業・サービス立ち上げ時
・コスト・時間:相対的に大きい
◉リブランディング
・出発点:既存資産の活用
・主な目的:既存ブランドの進化・刷新
・タイミング:市場変化・事業転換時
・コスト・時間:既存資産活用で効率化可能
つまり、ブランディングが「無から有を生み出す」作業であるのに対し、リブランディングは「有を再構築して新たな価値を創出する」作業といえます。既存の資産を活用できる分、ゼロからのブランド構築よりもコストと時間を抑えながら、大きな変革を実現できる可能性があります。
なぜ今、リブランディングが必要なのか?時代の変化と背景
現代のビジネス環境は、VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)と呼ばれる予測困難な時代に突入しています。かつては10年、20年と通用したブランド戦略が、今では数年で陳腐化するケースも珍しくありません。
リブランディングが求められる背景には、以下のような時代の変化があります。
◉顧客の価値観の多様化
Z世代・ミレニアル世代の台頭により、「安さ」「品質」だけでなく、「企業の社会的責任」「サステナビリティ」「共感できるストーリー」が購買・取引の決め手になるケースが増加
◉デジタル化の加速
SNSや口コミサイトの普及により、企業のブランドイメージは顧客によって形成される側面が強まり、一方的な情報発信では通用しなくなった
◉競争環境の激化
グローバル化やテクノロジーの進化により、業界の垣根を超えた競合が出現。従来の強みだけでは差別化が困難に
◉採用市場の変化
労働人口の減少と働き方の多様化により、「選ばれる企業」になるためのブランド力が人材獲得の成否を左右
こうした環境下では、一度構築したブランドに固執するのではなく、市場や社会の変化に合わせて柔軟にブランドを「チューニング」し続ける姿勢が求められます。リブランディングは、そのための重要な経営戦略なのです。
リブランディングが企業にもたらすメリット

リブランディングは、単なるイメージ刷新にとどまらず、企業の成長と持続可能性に直結する具体的なビジネス成果をもたらします。ここでは、BtoB企業が特に重視すべき3つのメリットを解説します。
新規顧客層の開拓と市場シェアの拡大
長年の事業活動で築いたブランドイメージは、既存顧客との信頼関係の基盤となる一方で、新規顧客へのアプローチを妨げる「壁」になることがあります。
例えば、「伝統ある老舗企業」というイメージは安心感を与える反面、「古い」「柔軟性がない」という印象を持たれ、新規取引先やスタートアップ企業からの引き合いが減少するケースがあります。
リブランディングによって、企業の持つ本質的な強み(技術力・実績・信頼性)を維持しながら、現代の市場ニーズに合った「見せ方」「語り方」に刷新することで、これまでリーチできなかった顧客層への訴求が可能になります。
実際に、リブランディングを実施した企業の中には、新規問い合わせ数が前年比150%以上に増加したケースや、従来とは異なる業界からの取引依頼が増えたケースも報告されています。
ブランド価値の再構築による「価格競争」からの脱却
「競合と比較されて、最終的に価格で負ける」──これは多くのBtoB企業が抱える共通の悩みです。
価格競争に陥る最大の原因は、「なぜ自社を選ぶべきか」という理由が顧客に伝わっていないことにあります。機能やスペックで差別化が難しい市場では、ブランドが持つ「信頼」「共感」「ストーリー」が、価格以外の選定基準として機能します。
リブランディングを通じて、自社の提供価値を明確に言語化し、一貫したメッセージで発信することで、「価格が高くても、この会社と取引したい」と思ってもらえるポジションを確立できます。これにより、利益率の向上だけでなく、長期的な取引関係の構築、つまり顧客生涯価値(LTV)の最大化にもつながります。
インナーブランディングによる社員の士気と採用力の向上
リブランディングの効果は、対外的なイメージ刷新だけにとどまりません。社内(インナー)に与えるインパクトも見逃せない重要なメリットです。
リブランディングのプロセスでは、「自社は何のために存在するのか」「どんな価値を社会に提供するのか」という根本的な問いに向き合います。この議論を通じて、経営陣から現場社員まで、会社の方向性と自分の仕事の意義を再認識する機会が生まれます。
また、採用活動においても、明確なブランドメッセージは強力な武器になります。「なぜこの会社で働くのか」という問いに対して、給与や待遇だけでなく、企業の理念やビジョンに共感して入社する人材が増えることで、ミスマッチによる早期離職の減少にもつながります。
あるBtoB企業では、リブランディング後に新卒採用の応募者数が2倍に増加し、内定承諾率も向上したという事例があります。優秀な人材の獲得競争が激化する中、「選ばれる企業」になるためのブランド投資は、経営戦略上の優先課題といえるでしょう。
リブランディングが企業にもたらすデメリット

リブランディングは大きな成果をもたらす可能性がある一方で、適切に進めなければ逆効果になるリスクも存在します。事前にデメリットを理解し、対策を講じることが、成功への第一歩です。
既存のコアファンが離反する「ブランド毀損」のリスク
リブランディングにおける最大のリスクは、長年のファンや既存顧客を失う可能性です。
ブランドの急激な変更は、既存顧客に「自分たちのためのブランドではなくなった」という疎外感を与えることがあります。特に、顧客がブランドに対して強い愛着やノスタルジーを持っている場合、変更への反発は大きくなります。
有名な失敗事例として、2009年のGAP(ギャップ)のロゴ変更があります。同社は事前の顧客調査なしに新ロゴを発表し、わずか1週間で元のロゴに戻すことを余儀なくされました。また、トロピカーナのパッケージ変更では、売上が20%も急落するという事態を招きました。
このリスクを回避するためには、「何を変え、何を残すか」を慎重に見極めることが重要です。ブランドの核心的な価値(コアバリュー)は維持しながら、時代に合わない表層的な要素を刷新するというバランス感覚が求められます。
戦略構築から浸透までに要する多大なコストと時間
リブランディングは、一朝一夕で完了するプロジェクトではありません。戦略策定から社内外への浸透まで、一般的に6ヶ月〜2年程度の期間を要します。
費用面でも、ロゴやWebサイトのデザイン変更だけでなく、名刺・封筒・看板・ユニフォームなどの各種ツールの刷新、社内研修の実施、広告・PR活動など、多岐にわたるコストが発生します。規模によっては数百万円〜数千万円の投資が必要になるケースもあります。
また、プロジェクト期間中は、通常業務と並行してリブランディング関連のタスクをこなす必要があり、社内リソースへの負荷も無視できません。
こうした投資に対するリターンは、短期的には測定しづらいという特性があります。経営層や株主への説明責任を果たすためには、中長期的な視点でKPIを設定し、進捗を可視化する仕組みが必要です。
現場への浸透不足による「見掛け倒し」の形骸化
リブランディングの失敗パターンとして多いのが、「見た目だけが変わって、中身は何も変わらない」という形骸化です。
新しいロゴやスローガンを掲げても、現場の社員がその意味を理解していなければ、顧客との接点で一貫したブランド体験を提供することはできません。営業担当者が旧来の説明を続けたり、サポートスタッフが新しい価値観を体現できなかったりすれば、顧客は「言っていることとやっていることが違う」と感じ、信頼を損ねることになります。
特にBtoB企業では、顧客との関係性が長期にわたることが多く、現場レベルでのブランド体現が成否を分けます。リブランディングは、外向けのコミュニケーション変更と同時に、社内への浸透(インナーブランディング)に十分なリソースを割く必要があることを忘れてはなりません。
リブランディングを行うべきタイミングと主な目的

「いつリブランディングに着手すべきか」──この問いに対する明確な答えはありませんが、以下のような兆候が見られる場合は、ブランドの見直しを検討すべきタイミングといえます。
既存顧客の高齢化・ファン離れが進んでいる
創業から数十年が経過した企業では、主要顧客層の高齢化が進み、新規顧客の獲得ペースが既存顧客の離脱を下回るという状況に陥りがちです。
「昔からのお得意様」に支えられてきたビジネスモデルは、その顧客層がリタイアしたり、世代交代したりするタイミングで急激に売上が減少するリスクを抱えています。
このような状況では、次世代の意思決定者(30〜40代のビジネスパーソン)に「選ばれるブランド」として認知されるための刷新が必要です。守りの姿勢で現状維持を選ぶか、攻めの姿勢でブランド再構築に踏み切るか──その判断が、企業の5年後、10年後を左右します。
市場環境や競合の変化により、強みが埋没している
かつては差別化要因として機能していた強みが、競合他社のキャッチアップや市場の成熟化によって、「当たり前」になってしまうケースは少なくありません。
例えば、「高品質」「迅速対応」「丁寧なサポート」といった価値は、多くの企業が訴求するようになった結果、差別化ポイントとしての効力が薄れています。また、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展や、新たなビジネスモデルを持つスタートアップの参入により、業界の競争ルール自体が変わることもあります。
こうした環境変化に対応するためには、自社の強みを再定義し、新たな競争軸でポジショニングを確立するリブランディングが有効です。
事業内容の変化や多角化により、実態とイメージが乖離している
事業の成長に伴い、提供サービスの範囲が拡大したり、新規事業に参入したりする中で、「世間が持つイメージ」と「実際の事業内容」にギャップが生じることがあります。
例えば、「システム開発会社」として認知されている企業が、現在はコンサルティングやBPOサービスを主力事業としている場合、旧来のイメージが新規顧客の獲得を妨げる要因になりえます。
また、M&Aによって事業ポートフォリオが大きく変わった場合や、グループ会社間のブランド体系が複雑化した場合も、ステークホルダーに対して「何の会社なのか」を明確に伝えるためのリブランディングが必要になります。
採用力の強化:優秀な「人」が集まるブランドへの進化
人材獲得競争が激化する中、「働きたい会社」として選ばれるブランド力の重要性は増す一方です。
特にBtoB企業は、BtoC企業と比較して一般消費者への認知度が低い傾向にあり、優秀な人材が「知らない会社」として選択肢から外してしまうリスクがあります。
そんな折、リブランディングを通じて、企業のパーパス(存在意義)やビジョン、社員が活躍できる環境を明確に発信することで、「この会社で働きたい」と共感する人材を惹きつけることが可能になります。採用コストの削減、内定承諾率の向上、入社後の定着率改善──これらは、採用ブランディングの観点からリブランディングを実施した企業が実感する具体的な成果です。
失敗しないためのリブランディング実践ステップ

リブランディングは、思いつきや場当たり的な対応では成功しません。体系的なプロセスに沿って、段階的に進めることが重要です。ここでは、成功確率を高めるための5つのステップを解説します。
Step1:ブランド資産の棚卸しと現状の課題抽出
最初のステップは、「現在地」を正確に把握することです。自社ブランドが市場でどのように認知されているか、顧客はどんな価値を感じているか、競合と比較してどのようなポジションにあるかを客観的に分析します。
具体的には、以下のような調査・分析を行います。
◉顧客調査
既存顧客・見込み顧客へのインタビューやアンケートを通じて、ブランドに対する認識・期待・不満を把握
◉社内調査
経営陣から現場社員まで、自社ブランドに対する認識のギャップを確認
◉競合分析
主要競合のブランドポジショニング、強み・弱み、コミュニケーション戦略を調査
◉市場分析
業界トレンド、顧客ニーズの変化、新たな競争軸の出現などを把握
この段階で重要なのは、「感覚」ではなく「事実」に基づいて現状を把握することです。思い込みや希望的観測を排除し、客観的なデータをもとに課題を特定することが、その後の戦略策定の精度を左右します。
Step2:ブランドアイデンティティ(理念・提供価値)の再定義
現状分析で抽出した課題を踏まえ、ブランドの核となるアイデンティティを再定義します。ここで決めるのは、ロゴやデザインではなく、ブランドの「中身」です。
具体的には、以下の要素を言語化します。
◉パーパス(存在意義)
「なぜこの会社は存在するのか」「社会にどんな価値を提供するのか」
◉ミッション(使命)
「何を成し遂げるのか」「顧客にどんな貢献をするのか」
◉ビジョン(目指す姿)
「将来どのような企業になりたいのか」「どんな世界を実現したいのか」
◉バリュー(価値観)
「大切にする行動指針」「判断基準となる価値観」
◉ブランドプロミス
「顧客に対する約束」「他社にはない独自の提供価値」
このプロセスは、経営陣だけで進めるのではなく、部門横断のプロジェクトチームで議論を重ねることが推奨されます。多様な視点を取り入れることで、より本質的で共感を得られるアイデンティティを構築できます。
Step3:ロゴ・デザイン・ネーミングへの落とし込み
ブランドアイデンティティが固まったら、それを視覚的・言語的に表現するフェーズに移ります。
具体的な成果物としては、以下が挙げられます。
◉ロゴマーク・ロゴタイプ
ブランドを象徴するシンボル
◉ブランドカラー
一貫したカラースキームの策定
◉タグライン・スローガン
ブランドの価値を端的に伝えるメッセージ
◉ブランドガイドライン
ロゴ・カラー・フォントなどの使用ルールを明文化
◉各種ツールのリデザイン
名刺、封筒、パンフレット、Webサイト、サインなど
ここで注意すべきは、デザインはあくまで「アイデンティティを表現する手段」であるという点です。見た目の格好良さだけを追求するのではなく、Step2で定義した理念や価値観が適切に伝わるデザインになっているかを検証することが重要です。
Step4:インナーブランディング(社員への浸透)の実施
リブランディングの成否を分ける最重要ステップが、社内への浸透(インナーブランディング)です。どれほど優れたブランドアイデンティティを策定しても、現場の社員がそれを理解し、日々の業務で体現できなければ、顧客に届くことはありません。特にBtoB企業では、営業担当者やカスタマーサポートなど、顧客と直接接する社員一人ひとりが「ブランドの体現者」となります。
インナーブランディングの具体的な施策としては、以下が挙げられます。
◉キックオフイベント
全社員を対象に、リブランディングの背景・目的・新ブランドの意味を共有
◉ワークショップ
部門ごとに「新ブランドを業務にどう活かすか」を議論
◉社内報・動画コンテンツ
継続的にブランドメッセージを発信し、浸透を図る
◉評価制度への反映
ブランド価値に沿った行動を評価する仕組みづくり
社員がブランドの「理解者」であり「伝道者」になる──この状態を作ることが、リブランディング成功の重要ポイントです。
Step5:社外への一貫したメッセージ発信と体験の提供
社内浸透と並行して、社外のステークホルダーに向けた情報発信を行います。ここで重要なのは、あらゆるタッチポイントで一貫したブランドメッセージを発信することです。
Webサイト、SNS、広告、プレスリリース、展示会、商談──顧客がブランドと接触するすべての場面で、同じ価値観・トーン・ビジュアルが表現されている必要があります。
発信の具体的な施策としては、以下が挙げられます。
◉プレスリリース・記者発表会
リブランディングの背景と新ブランドの方向性をメディアに発信
◉Webサイトリニューアル
新ブランドを体現するコンテンツ・デザインへの刷新
◉SNS・コンテンツマーケティング
ブランドストーリーを継続的に発信し、認知とエンゲージメントを向上
◉既存顧客へのコミュニケーション
変更の背景を丁寧に説明し、不安を払拭
リブランディングは発表して終わりではなく、継続的なコミュニケーションを通じて認知を定着させていく長期的な取り組みです。短期的な反応に一喜一憂せず、粘り強く発信を続けることが成果につながります。
リブランディングでは具体的に何を変えるの?

リブランディングで変更する対象は多岐にわたりますが、大きく「中身」「見た目」「伝え方」の3つのカテゴリに整理できます。それぞれについて、具体的な変更内容を解説します。
企業文化・風土などの中身
リブランディングの本質は、ブランドの「中身」を再定義することにあります。表面的な変更だけでは、持続的な成果は得られません。
パーパス・ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の見直し
企業の存在意義や目指す姿を言語化したMVVは、ブランドの根幹をなす要素です。創業時に策定したまま形骸化しているケースも多く、現在の事業内容や市場環境に合わせて再定義することで、社内外に対するメッセージの一貫性が生まれます。
ブランドプロミス(顧客への約束)の再構築
「この会社・サービスを選ぶと、どんな価値が得られるのか」という顧客への約束を明確化します。競合との差別化ポイントを反映させ、「選ばれる理由」を言語化することが重要です。
ターゲット・ペルソナの再設定
市場環境の変化に合わせて、主要ターゲットを見直します。既存顧客層に加え、新たにアプローチしたい顧客像を明確化し、そのニーズに応えるブランド設計を行います。
ブランドデザインの再定義
「中身」の変更を視覚的に表現するのが、ビジュアルアイデンティティ(VI)ですが、新ブランドに合わせてVIを刷新し、ブランドデザインの独自性を定義します。
ロゴマーク・ロゴタイプ
ブランドを象徴するシンボルとして、最も認知されやすい要素です。新しいブランドアイデンティティを反映したデザインに刷新します。ただし、認知度の高いロゴを大きく変更する際は、既存顧客への配慮が必要です。
ブランドカラー・タイポグラフィ
色彩やフォントは、ブランドの印象を大きく左右します。業界の慣例にとらわれず、自社の個性や目指すイメージに合った選定を行います。
Webサイト・各種ツール
コーポレートサイト、サービスサイト、名刺、会社案内、提案資料など、顧客との接点となるすべてのツールを新しいビジュアルアイデンティティに統一します。
オフィス・店舗デザイン
物理的な空間も、ブランド体験の重要な要素です。来訪者に与える印象を考慮し、新ブランドを体現する空間デザインを検討します。
バーバル・アイデンティティ(伝え方)の再定義
ブランドの価値をどのような言葉で、どのような方法で伝えるかもリブランディングの重要な要素です。
タグライン・スローガン
ブランドの価値を端的に伝えるメッセージです。「何をする会社か」ではなく「どんな価値を提供するか」を表現することで、顧客の共感を得やすくなります。
ブランドストーリー
創業の経緯、事業への想い、顧客への貢献など、企業の物語を伝えるコンテンツです。機能や価格だけでなく、「共感」でつながる関係性を構築するために有効です。
トーン&マナー(コミュニケーションの統一基準)
Webサイト、SNS、営業トーク、カスタマーサポートなど、あらゆる場面で一貫した印象を与えるためのコミュニケーション基準を策定します。
プロによるリブランディング支援を検討中の方へ:無料相談のご案内

ここまでお読みいただき、リブランディングの重要性と進め方についてご理解いただけたかと思います。
しかし、実際にリブランディングを進めるとなると、「どこから手をつければいいかわからない」「社内のリソースだけでは難しい」「失敗するリスクが怖い」という声も多く聞かれます。
リブランディングは、企業の将来を左右する重要な経営判断です。だからこそ、経験豊富な専門家のサポートを受けることで、成功確率を大幅に高めることができます。
私たちは、BtoB企業を中心に数多くのリブランディングプロジェクトを支援してきた実績があります。戦略策定からビジュアル開発、社内浸透まで、一気通貫でサポートする体制を整えています。
リブランディングにかかる費用とパートナーの選び方

リブランディングを検討する際、多くの企業が気になるのが「費用」と「どの会社に依頼すべきか」という点です。ここでは、費用の目安とパートナー選定のポイントを解説します。
費用の目安:デザイン刷新から戦略構築までの相場
リブランディングの費用は、何をどこまでやるかによって大きく異なります。以下は、一般的な費用レンジの目安です。
◉ロゴ・VI刷新のみ:50〜300万円
ロゴデザイン、基本的なブランドガイドラインの制作が含まれます。
◉Webサイトリニューアル:100〜1,000万円以上
サイト設計、デザイン、コンテンツ制作などが含まれます。
◉戦略策定(コンサル):100〜500万円
調査分析、MVV策定、ブランドプロミス言語化などが含まれます
◉フルスコープ:500〜3,000万円以上
戦略〜デザイン〜Web〜ツール〜浸透支援まで一括が含まれます。
費用対効果を考える際は、リブランディングによって得られる長期的なリターン(売上向上、採用コスト削減、価格競争からの脱却など)を含めて判断することが重要です。初期投資は大きくても、中長期的には十分なリターンが得られるケースが多いことを念頭に置きましょう。
リブランディング会社の選び方:実績と「伴走力」をチェック
リブランディングのパートナーを選ぶ際は、以下のポイントをチェックしましょう。
◉同業界・同規模の実績があるか
BtoB企業のリブランディングと、BtoC企業のそれでは、アプローチが大きく異なります。自社と類似した業界・規模の実績があるパートナーを選ぶことで、的外れな提案を避けられます。
◉戦略から実行まで一気通貫で対応できるか
戦略策定はA社、デザインはB社、WebサイトはC社…と分散させると、コミュニケーションコストが増大し、一貫性が損なわれるリスクがあります。可能な限り、ワンストップで対応できるパートナーを選びましょう。
◉「伴走型」のサポート体制があるか
納品して終わりではなく、社内浸透や効果測定まで並走してくれるパートナーが理想的です。特にインナーブランディングは継続的な取り組みが必要なため、中長期的な関係性を築ける相手を選ぶことが成功の鍵となります。
◉経営課題を理解し、ビジネス視点で対話できるか
リブランディングは経営戦略の一環です。デザインの美しさだけでなく、ビジネス課題の解決に貢献できるパートナーを選びましょう。初回の打ち合わせで、経営課題にどこまで踏み込んだ質問や提案があるかは、良い判断材料になります。
独学で学びたい方向け:リブランディングのおすすめ書籍3選

リブランディングについて体系的に学びたい方に向けて、実務に役立つ書籍を紹介します。
『湖池屋の流儀 老舗を再生させたブランディング戦略』(中央公論新社)
湖池屋のリブランディングを主導した佐藤章氏による実践記。老舗企業が市場で再び輝くまでの試行錯誤と成功の軌跡が詳細に描かれています。実務者の視点からリアルな意思決定プロセスを学べる一冊です。
『ブランディングの科学』(朝日新聞出版)
データとエビデンスに基づいたブランディング論を展開。感覚的になりがちなブランド議論を、論理的に進めるための視点が得られます。
リブランディングに関するよくある質問

Q1.リブランディングとリニューアルの違いは何ですか?
リブランディングは「目的」、リニューアルは「手段」という関係にあります。
リニューアルは、ロゴやWebサイト、パッケージなどの視覚的要素を新しくする行為を指します。一方、リブランディングは、ブランドの提供価値やポジショニング、ターゲットを再定義する戦略的な取り組みです。
リブランディングを行う際にリニューアルを伴うことは多いですが、リニューアルだけでは本質的なブランド変革は実現しません。表面的な変更にとどまらず、「中身」から見直すことがリブランディングの本質です。
Q2.ロゴを変えるだけでリブランディングになりますか?
ロゴ変更だけでは、リブランディングとは言えません。
ロゴはブランドを象徴する重要な要素ですが、それ単体で企業の提供価値や顧客との関係性が変わるわけではありません。ロゴ変更は、ブランドアイデンティティの再定義を経て、その「表現」として行われるべきものです。
逆に言えば、ブランドの「中身」を大きく変えずにロゴだけを変更すると、既存顧客に混乱を与えるだけで終わるリスクがあります。GAPのロゴ変更失敗が、その典型例です。
Q3.既存の顧客が離れてしまうリスクへの対策は?
「何を変え、何を残すか」を慎重に見極め、丁寧なコミュニケーションを行うことが重要です。
既存顧客が評価しているブランドの核心的な価値(コアバリュー)は維持しながら、時代に合わない要素を刷新するというバランス感覚が求められます。
また、リブランディングの発表時には、変更の背景と目的を丁寧に説明し、「顧客を置き去りにしない」姿勢を示すことが大切です。事前に主要顧客へ個別に説明の機会を設けるなど、きめ細かな対応が効果的です。
Q4.プロジェクトの期間はどのくらいかかりますか?
一般的には6ヶ月〜2年程度が目安です。
ただし、プロジェクトの範囲によって大きく異なります。ロゴ・Webサイトの刷新のみであれば6ヶ月程度で完了することもありますが、戦略策定から社内浸透まで含めたフルスコープのリブランディングでは、1〜2年かかるケースも珍しくありません。また、「完了」の定義も重要です。
ビジュアルの刷新は比較的短期間で完了しますが、ブランドの浸透は継続的な取り組みが必要です。発表後も粘り強く発信を続け、認知を定着させていくプロセスを含めると、より長期的な視点が求められます。
結論:リブランディングは「企業の未来」を創る投資である

リブランディングは、単なるロゴ変更やイメージ刷新ではありません。企業の存在意義を問い直し、市場や顧客との関係性を再構築する、経営戦略の根幹に関わる取り組みです。
変化の激しい現代のビジネス環境において、かつて成功したブランド戦略がいつまでも通用する保証はありません。顧客の価値観の変化、競合環境の激化、デジタル化の進展──こうした変化に対応し、「選ばれる理由」を再定義し続けることが、企業の持続的成長に不可欠です。
リブランディングには、相応のコストと時間、そして組織全体のコミットメントが必要です。しかし、適切に実行すれば、新規顧客の開拓、価格競争からの脱却、採用力の強化、社員エンゲージメントの向上といった具体的な成果をもたらします。
重要なのは、「やるか、やらないか」ではなく「いつ、どのように取り組むか」という視点です。ブランドの賞味期限が切れてから慌てて着手するのではなく、成長のための先行投資として計画的に取り組むことで、より大きな成果を得ることができます。
本記事で解説した内容が、貴社のリブランディング検討の一助となれば幸いです。
ブランディングチーム
パドルデザインカンパニーには、プロジェクト全体を統括するプロデューサーやブランディングディレクターをはじめ、コピーライター、エディトリアルライター、アートディレクター、ブランドデザイナー、Webデザイナー、映像ディレクターなどが在籍し、プロジェクト毎に最適なチーム編成を行うことでブランドを最適解へと導いていきます。
記事制作/プロデューサー
ご相談や課題を受け、実施プランの策定やプロジェクトの大まかなスケジュールなどを策定します。また、プロジェクトのゴール設定やマーケティング環境分析、市場分析などを行い、市場で勝ち抜くブランド戦略提案などを行います。
Producer
CEO 豊田 善治
東京のブランディング会社 パドルデザインカンパニー

パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。

