その一年を、十年先の資産へ。

戦略設計と創造力で企業価値を高める周年ツール制作と費用プランを紹介します。

Introduction

1.はじめに:周年がもたらす企業価値

周年は、企業にとって単なる「節目」ではなく、これまで築いてきた信頼を可視化し、次の成長への決意を社内外に示す重要な機会です。長年の歩みを振り返りながら、社員・顧客・パートナーへの感謝を伝えることで、関係性の再構築と共感の深化を生み出します。
また、企業の理念やビジョンを再定義し発信することで、ブランド価値の向上や採用・広報などの副次的効果も期待できます。

企業の節目を「ブランド資産づくり」へ

周年施策は、一過性のイベントで終わらせるのではなく、「ブランド資産」として長期的に活用できる設計が重要です。
周年で制作した映像・ロゴ・メッセージ・デザインは、社内文化や企業姿勢を象徴する“資産”として今後の広報・採用・営業など多様な場面で再利用できます。
過去を祝うだけでなく、「これからの企業像」を内外に示す発信のチャンスとして捉えることで、持続的なブランド価値の向上につながります。

2.成功する周年プロジェクトの3つの要素

周年プロジェクトを成功に導くためには、単なる記念施策にとどまらず、企業の「想い」「らしさ」「つながり」を再構築し、社内外に共感を生み出す設計が求められます。感情的な盛り上がりだけでなく、戦略的な構築が不可欠です。周年をブランド資産として最大化するには、(1)明確なコンセプトで方向性を定め、(2)一貫したクリエイティブ表現で統一感を生み、(3)社内外の共感設計により関係者を巻き込むこと。この3つを軸にすることで、周年は記念行事に留まらず、企業の未来を描くブランドプロジェクトへと発展します。

(1)明確なコンセプト

周年の意義や目的を明確にし、「何を伝えたい周年なのか」を定義することが出発点です。企業の歴史・理念・未来像を整理し、テーマやスローガンに落とし込むことで、施策全体に一貫した軸が生まれます。

(2)一貫したクリエイティブ表現

ロゴ・映像・サイト・冊子など、複数のツールを制作する際は「ビジュアルトーン」「メッセージ」「デザインルール」を統一することが重要です。トーン&マナーを整理することで、ブランドの信頼性が高まり、ストーリーとして社内外に深く伝えることができます。

(3)社内外の共感設計

周年は「発信する」だけでなく、「共感を生む」プロジェクトであるべきです。社員が主体的に関わる仕掛け(映像出演・特設サイトのコメント投稿など)や、顧客・パートナーを巻き込む企画(記念キャンペーン・展示イベント)を設計することで、感謝と共創の輪が広がります。

3.コンセプト設計:周年のストーリーをつくる

周年は「何年を迎えたか」を示すものではなく、「どんな想いで歩んできたのか、そしてこれからどこへ向かうのか」を語る場です。そして、その中心にあるのがコンセプト設計です。
周年を通じて発信すべきストーリーを明確に定義することで、すべてのツールに統一したメッセージが生まれ、見る人の感動と共感を引き出します。

(1)周年テーマ・スローガンの開発プロセス

周年テーマやスローガンは、企業の歴史と未来を結びつける「象徴的な言葉」です。策定にあたっては、経営理念や企業文化、社員インタビュー、これまでの歩みを多角的に分析し、「企業が大切にしてきた価値」と「これから発信したい想い」を統合して構築します。

《設計例》
・「過去の感謝×未来の挑戦」を掛け合わせたメッセージ
・「100年企業」など長期的ビジョンを見据えた前向きなスローガン

このプロセスにより、社員一人ひとりが誇りを感じ、社外にも強く響くメッセージが生まれます。

(2)ブランドらしさを引き出すキービジュアル設計

テーマを視覚的に表現するのがキービジュアルです。ロゴ・カラー・フォント・グラフィックモチーフなどを通して、企業の“らしさ”を再構築し、周年全体の印象を方向づけます。

《設計のポイント》
・企業のコアアイデンティティを視覚化(ロゴや象徴的な形・色の継承)
・周年特有の特別感を演出(限定カラーや年数モチーフの活用)
・媒体横断での一貫性(動画・Web・印刷物など全体で統一)

これにより、社内外のあらゆる接点で「この企業らしい」と感じられるブランドトーンが確立されます。

(3)企業ストーリーを軸にしたメッセージング事例

周年の発信では、単なる歴史紹介ではなく、企業が歩んできた道のりと未来への展望を再構成することが重要です。

例えば
・創業時の想いを現在のビジョンへつなぐストーリームービー
・社員・顧客・地域の声を取り入れた“共創ストーリー”
・「これまでの挑戦」から「これからの挑戦」へとつなぐコピー展開

こうした表現を通して周年は、「企業の原点を再認識し、次のステージへ向かう契機」となります。組織全体の価値観を再確認し、社内外の信頼と共感を深める場として機能します。

4.周年ツール制作ラインナップ

周年施策を成功へと導くためには、「何をつくるか」よりも「なぜつくるのか」を明確にすることが大切です。その目的を整理すると、周年ツールは大きく 「伝える」「残す」「広げる」 の3つの役割に分類されます。
それぞれが独立した施策でありながら、相互に補完し合うことで、周年全体のブランド体験が一貫したものになります。

(1)伝える — 周年の想いを広く届ける

周年動画や周年記念サイトは、企業の歩みと未来へのビジョンを最も効果的に「伝える」手段です。
動画は感情を喚起し、企業の想いを短時間で印象的に伝えることができます。一方、特設サイトは周年の情報を体系的にまとめ、採用・広報・イベントなど社外への発信拠点として機能します。

主なツール例: 周年映像、記念サイト、デジタル年表
→活用シーン: 社外PR、採用広報、周年イベント、IR発信

(2)残す — 企業の歴史を価値として記録する

周年は、企業の歩みを「記録」し、次世代へと継承する絶好の機会です。
記念誌やパンフレットは、単なる社史資料ではなく、企業の思想や文化を後世に伝えるアーカイブとして機能します。
周年を節目として、これまでの挑戦や成果を可視化することで、社員の誇りやモチベーション向上にもつながります。

主なツール例:記念誌、社史ダイジェスト、周年パンフレット
→活用シーン: 社内配布、株主・取引先への贈呈、採用・教育資料

(3)広げる — 共感を生み、関係を深める

SNS施策やノベルティ、展示デザインなどは、周年をきっかけに企業と人をつなぐ接点を拡張します。
社員や顧客、地域コミュニティなど、多様なステークホルダーと感謝を共有することで、ブランドの共感圏を広げます。周年のメッセージを“体験”として届けることが、継続的なエンゲージメント形成につながります。

主なツール例: SNSキャンペーン、記念ノベルティ、展示・空間デザイン
→活用シーン: 社員コミュニケーション、顧客参加型イベント、地域・業界PR

5.周年ツールの制作プロセスとスケジュール例

周年プロジェクトは、多くの関係者が関わる長期的な取り組みであり、成功のためには「段階ごとに明確な目的と役割を持った進行設計」が不可欠です。
以下の4ステップに沿って進めることで、コンセプトの精度を高めながら、効果的なアウトプットへと導くことができます。

【Phase1】ヒアリング・企画設計(約1ヶ月)

最初のステップでは、企業の理念・歩み・周年に込めたい想いを丁寧にヒアリングし、周年施策全体の目的・ターゲット・メッセージ軸を整理します。その上で、テーマやコンセプト案を策定し、必要なツール・スケジュール・体制を設計します。
この段階でプロジェクト全体の方向性を明確にすることで、後の制作フェーズの効率と一貫性が高まります。

【Phase 2】クリエイティブ制作(約2〜3ヶ月)

確定したコンセプトをもとに、各種ツール(動画・Web・印刷物など)の制作を進行。企画意図を視覚・言語の両面で具体化し、企業の“らしさ”を最大限に表現します。
デザイン・コピー・構成・撮影・編集などを並行して行い、定期的な確認を通じて精度を高めていきます。
この期間は、ブランドメッセージを具現化する中心フェーズであり、社内外のステークホルダーとの認識共有が重要となります。

【Phase 3】展開準備・納品(約1ヶ月)

制作物の最終調整と、発信・配布に向けた準備を行います。
印刷物や映像の最終出力、Webサイトの公開設定、イベント用ツールの納品など、複数のチャネルにおける整合性を最終確認します。
また、発信スケジュールや社内展開のプランニングもこのフェーズで確定し、「発表時に最大の効果を得る」ための仕込み期間として位置づけます。

【Phase 4】フェーズ4:発信・活用サポート(継続)

公開後は、周年を単発のイベントで終わらせず、広報・採用・インナーブランディングなどへと活用範囲を広げていきます。SNS施策や追加コンテンツ制作など、周年資産を継続的に運用することで、ブランド価値の定着とエンゲージメント向上を実現します。
周年は「完結」ではなく、「次のフェーズへの始まり」。発信後の活用を見据えた伴走が、長期的な成果を生む要因となります。

6.費用プランの一例

周年プロジェクトの費用は、企業規模・制作範囲・目的によって大きく変動します。
ここで示すプランは、一般的な中〜大規模企業における総合的な周年施策を実施した場合の概算目安です。
各項目は単体でも実施可能ですが、全体を体系的に設計することで、メッセージの統一と費用対効果を最大化できます。

◉コンセプト設計・ロゴ開発

¥300,000〜¥800,000

周年プロジェクトの基盤となるテーマやスローガンを策定し、企業の理念と未来を結ぶメッセージを明確化します。加えて、周年を象徴するロゴやキービジュアルを開発し、全体の統一感とブランドらしさを確立します。初期設計の質が周年全体の印象を左右します。

◉動画制作

¥800,000〜¥3,000,000

周年の想いを最も感情的に伝える手段として、動画コンテンツを制作します。撮影・編集・ナレーション・BGM制作を含み、企業の歩みや社員の声をストーリーとして表現。社外向けPRから社内共有まで幅広く活用でき、記憶に残るブランド体験を創出します。

◉特設サイト制作

¥1,000,000〜¥3,000,000

周年情報を発信する中心的なプラットフォームとして特設サイトを構築。CMSによる更新性やアニメーションを活用し、企業の歴史やビジョンを魅力的に可視化します。採用・広報・IRなど多用途に展開できる、ブランド発信のハブとして機能します。

◉記念誌・印刷物

¥300,000〜¥3,000,000

周年を記録し、次世代へ継承するツールとして記念誌やパンフレットを制作。これまでの軌跡や社員・顧客への感謝を丁寧にまとめ、企業の文化や理念を“かたち”として残します。高いデザイン性と編集品質により、長期的な企業資産となります。

◉ノベルティ制作

¥100,000〜¥1,000,000

周年を祝う象徴として、社員や顧客に配布する記念品を企画・デザイン。オリジナルグッズやパッケージ制作を通して、感謝と一体感を醸成します。日常的に使えるアイテムを選定することで、ブランド認知の定着にもつながります。

◉イベント演出

¥500,000〜¥3,000,000

周年式典や記念イベントにおける空間デザイン・映像演出・運営支援を一括でサポート。企業の歴史と未来を体験として体感できる構成を設計し、参加者の心に残る時間を創出します。リアル・オンライン双方に対応可能です。

◉合計目安

¥3,000,000〜¥10,000,000

制作規模や媒体数、発信範囲により総額は変動しますが、一般的な周年プロジェクトの目安は¥3,000,000〜¥10,000,000程度です。全体を一貫した設計で進行することで、コストを最適化しながらブランド価値を最大限に高める施策が可能です。

7.費用設計の考え方と3つのポイント

周年施策の費用は、単なる支出ではなく、ブランド価値を高めるための中長期的な投資として位置づけることが重要です。制作物ひとつひとつのクオリティだけでなく、全体の目的整合性と継続的な活用を見据えた設計が、最終的な成果を左右します。
以下の3つの観点から、費用設計を戦略的に考えることが効果的です。

(1)目的に応じた優先順位づけ

周年プロジェクトの目的を明確化し、その達成に最も寄与する領域へ重点的に投資します。
例えば、社外へのブランド発信力を強化したい場合は映像・Webサイトを中心に、社内のエンゲージメントを高めたい場合は冊子・イベント・ノベルティなどの体験的要素を重視します。
限られた予算の中でも、目的軸で優先順位をつけることで、成果を最大化する設計が可能になります。

(2)一貫したクリエイティブ管理

制作物を複数の業者に分散させると、デザイントーンやメッセージの一貫性が失われ、結果として「ブランド体験のばらつき」と「二重コストの発生」を招くことがあります。
コンセプト設計から各ツール制作までを一貫して管理する体制を構築することで、クリエイティブの整合性とコスト効率の両立を実現できます。

(3)再利用を前提とした設計

周年で制作した動画・ロゴ・コピー・デザインは、その後の採用広報・PR・社内教育など、多様な用途に再活用できる“ブランド資産”です。
初期段階から再利用を見越した構成・フォーマットで制作することで、単発のイベントに終わらない、長期的な費用対効果を確保できます。

8.周年ツール制作事例

(1)周年ロゴ|ハトのマークの引越センター

創立50周年を記念し、シンボルである「鳩」をモチーフに50の数字を融合させた周年ロゴを制作。ブランドカラーのレッドを基調に、信頼感と統一感を持たせたデザインとしました。長年愛される“ハトのマーク”らしさを保ちながら、節目にふさわしい象徴的なロゴに仕上げています。

(2)周年ロゴ|ポーライト株式会社

創立70周年を機に、「成長」「変化」「チャンス」をテーマにした周年ロゴを開発。数字の0に光のモチーフを取り入れ、未来への希望を表現しました。粉末冶金技術を礎に新たな挑戦を続ける企業姿勢を、伸びゆく架け橋のデザインで象徴しています。

(3)周年ロゴ|鎌ケ谷巧業株式会社

55周年を通過点と位置づけ、さらなる成長を象徴する周年ロゴを制作。事業の多角化や新たな挑戦への意志を造形で表現し、建築鉄骨加工企業としての確かな技術と進化への決意をデザインに込めました。企業の未来志向を感じさせるロゴです。

(4)周年サイト|シモダL&C株式会社

創業100年の歴史を伝える周年サイトを制作。キービジュアルを3分割し、時代ごとの歩みを印象的に表現しました。事業部対談や社員インタビューを通じて“人”に焦点を当て、挑戦と継承を感じさせる構成。100年企業の誇りと未来への意思を可視化しました。

(5)周年サイト|特別民間法人 高圧ガス保安協会

長年の信頼と新たな挑戦を両立させた周年サイトを制作。「安心・安全を守る」という理念を軸に、水素事業への取り組みなど新たな展開を紹介。誠実でクリーンなデザイントーンで、協会の進化と社会的使命を両立して表現しました。

(6)周年サイト|新光ネームプレート株式会社

創業70年の歩みをまとめた周年サイト。時代ごとの挑戦を簡潔に整理し、経営者やキーマンのインタビューを通してブランドの厚みを表現しました。創業から現在、そして未来への継承を感じさせる構成で、企業のストーリーをわかりやすく発信しています。

(7)周年動画|月島食品工業株式会社

創業の歴史を振り返る前半と、未来へのメッセージを伝える後半の二部構成で制作。社員参加型の映像により、感謝と一体感を表現しました。組織としてのつながりを強調し、周年を機に社員の誇りと結束を高めるムービーに仕上げています。

(8)周年動画|株式会社ヤクルト本社

中四国・九州エリア販売会社合同の直販事業部50周年式典に向け、オープニング動画を制作。1974年の発足以来、「オレンジジュース」から始まる市場開拓、タフマンなど多彩な商品の展開、直販実売1000億円達成、体制整備や提携強化など挑戦の歴史を映像化。変革を重ねてきた50年の歩みを振り返り、次の時代へ挑む決意を共有する動画としました。

(9)周年動画|鎌ケ谷巧業株式会社

「まっすぐ、強く。」をキーワードに、未来人がタイムトラベルを通じて鎌ケ谷巧業の価値を再発見するストーリーを構成。映像では“巧の技”の普遍的な価値を未来視点で描き、企業理念と進化の姿勢を印象的に伝えるブランドムービーに仕上げました。

(10)周年記念誌|三弘紙業株式会社

創業100周年を記念して制作した記念誌。「100年、ひとつのこと。」をコンセプトに、リサイクル事業にかけた情熱と社員の絆を丁寧に描きました。沿革、写真、座談会など多面的な構成で、伝統と革新を併せ持つ企業文化を表現しています。

(11)周年記念誌|株式会社システムズナカシマ

創立40周年を記念し、謝恩会で配布する周年誌を制作。歩み・代表メッセージ・今後の展望をCADラインのデザインで統一し、過去から未来へのつながりを表現しました。企業カラーを生かしたデザインで、同社らしい信頼感ある誌面構成としています。

(12)周年記念誌|昭栄電工株式会社

創業50周年を機に、挑戦と進化をテーマにした記念誌を制作。年表形式で歩みを振り返り、代表的案件を写真で紹介。新しいことに挑み続ける企業姿勢をビジュアルで表現しました。誠実さと創造力を伝える、同社らしい誌面構成です。

まとめ:企業価値を高める周年プロジェクト

周年は、過去を祝うだけでなく、未来を描くための戦略的なブランディングの機会です。
明確なコンセプト設計と一貫したクリエイティブ表現、そして社内外の共感設計を通じて、企業の信頼とブランド価値を持続的に高める周年プロジェクトを実現します。

ブランディングチーム

パドルデザインカンパニーには、プロジェクト全体を統括するプロデューサーやブランディングディレクターをはじめ、コピーライター、エディトリアルライター、アートディレクター、ブランドデザイナー、Webデザイナー、映像ディレクターなどが在籍し、プロジェクト毎に最適なチーム編成を行うことでブランドを最適解へと導いていきます。

記事制作/プロデューサー

ご相談や課題を受け、実施プランの策定やプロジェクトの大まかなスケジュールなどを策定します。また、プロジェクトのゴール設定やマーケティング環境分析、市場分析などを行い、市場で勝ち抜くブランド戦略提案などを行います。

Producer
CEO 豊田 善治

東京のブランディング会社 パドルデザインカンパニー

パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。