ブランド戦略の策定
ブランド階層構造と、ブランド展開方針。
ブランド階層と3つのブランド戦略「ブランド戦略の策定」を伝授します。
ブランド戦略
消費者にとってブランドは、満足を高め経験を蓄積する機能を果たし、商品・サービス選択の判断基準のひとつとなります。ブランドは企業にとって競争優位に立つための重要な無形資産であり、長期的な収益の基盤構築に不可欠な要素であることは間違いありません。このことからブランド戦略は、企業の経営戦略と深い関連性があり、強いブランド構築は企業にとって不可避の課題であると言えます。しかしブランドは、一朝一夕で構築できるものではなく、戦略的なコミュニケーション戦略のもと、中長期を見越したブランディング活動が必要不可欠となります。
ブランド階層の策定
ブランドは一朝一夕にできるものではなく、中長期的な計画の下、戦略的に行わなければならない経営課題です。では、企業は価値あるブランドをどのように構築していけばよいのでしょうか。ここでは、ブランド階層や経営資源の投下方法への理解を深め、企業の成長ステージや市場特性を考慮しながら決定して行くための、ブランド構築にまつわる知識を伝授していきます。
●4つのブランド階層
ブランドには大きく4つの階層が存在します。「トヨタ」「ホンダ」「日産」などのコーポレート・ブランド(企業ブランド)、「TOYOTA」「LEXUS」などの事業ブランド、花王の「植物物語」のように石鹸・シャンプー・リンスなどいくつかの製品カテゴリーをブランド毎に展開するファミリー・ブランド、「エコナ」「サランラップ」など個別商品をブランド化するプロダクト・ブランドなどが階層にあたります。 どのブランド階層であってもブランドの構成要素や評価・マネジメント手法は同じですが、ブランドの成長率やブランドイメージの変化により、ブランド整理や再構築が必要なこともあるため、企業はブランド戦略にあたり、展開するブランドを体系化し管理する必要があります。
3つのブランド戦略
ブランド戦略には、コーポレート・ブランドの下にブランドを展開して行く「マスター・ブランド戦略」と、複数のブランド展開により市場シェアを獲得していく「マルチ・ブランド戦略」とがあります。それぞれにメリット・デメリットがあり、ブランド利用時にはその方針を策定していかなければなりません。 日本企業を俯瞰してみると、マスター・ブランド戦略が最も多く一般的ですが、化粧品やアパレル業界ではマルチ・ブランド戦略が一般的になりつつあります。これは、マルチ・ブランド戦略で展開する外資系による影響が大きく、競合がグローバル化していることが背景にあると言えます。
●マスター・ブランド戦略(例:ヴァージン社)
マスター・ブランド戦略は、コーポレート・ブランド(アンブレラ・ブランド)の下に複数の事業や製品カテゴリーを展開していく戦略で、ひとつのブランドにマーケティング資源を集中投下することでマーケティング効率を高めることができる一方、ひとつのブランドに依存するリスクや、成長の限界というデメリットがあります。
●マルチ・ブランド戦略(例:P&Gジャパン)
マルチ・ブランド戦略は、多数のブランドをポートフォリオに持ち、同一カテゴリーで複数ブランドを展開することにより市場シェアを獲得していく戦略で、複数のブランドによるリスクの分散と多角的な成長の可能性を秘める一方、マーケティング資源の分散投資による非効率が否めません。
●サブ・ブランド戦略(例:Apple社)
マスター・ブランド戦略とマルチ・ブランド戦略を組み合わせる方法にサブ・ブランド戦略があります。サブ・ブランド戦略では、既に展開するコーポレート・ブランド(企業ブランド)に新しいブランドを結合させることで、マスター・ブランドの保証の下、個別のブランドをアピールしていくことができます。但し、ブランド体系が複雑になることから、管理が難しくなるデメリットを併せ持ちます。
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