賃金制度や報酬のあり方が、真似できない企業をつくる。

賃金の定義と、労働三法の基本を学びます。

Introduction

人的資源管理

企業は、ヒト・モノ・カネ・情報の4つの経営資源(四大経営資源)を活用しながら活動を行いますが、4つの経営資源の中でも最も重要とされるのが「人的資源」です。すべては「ヒト」がいて初めて活用できるものであり、ヒトがモノを使い、ヒトがカネを動かし、ヒトが情報を活かすことで初めて、企業活動を行うことができます。ヒトがいなければすべての企業活動は始まらないことから、企業活動の根幹を支えているのが、この「人的資源」だと言えるのです。
人的資源の持つ多様な能力と可能性を効率的に有効活用することがマネージメント側の責任であり、人的資源を動機付けできるか否かが事業の成果を大きく左右することから、人的資源の要素である「採用・人員配置、評価(人事考課)、報酬、賃金、能力開発」などを正しく理解し、適切な管理・運用を行う必要があります。ここでは、人的資源管理のうち「賃金」について詳しく解説していきます。

賃金とは

賃金は、労働基準法上、労働の対価として使用者が労働者に支払う全てのものを指しており、賃金、給料、手当、賞与、歩合、その他名称の全てが含まれます。賃金は、労働収入で生計を立てる労働者が得られる大切な収入源であることから、立場上の弱者となる労働者を保護するための法律、「労働基準法」、「最低賃金法」などで労働者の権利を法制化しています。賃金は、基本給・諸手当の「所定内賃金」で構成されており、残業手当や歩合は「所定外賃金」の扱いとなります。
なお、非金銭的な対価を含む「褒賞・報酬」も、広義の意味では賃金を含みますが、非金銭的な対価を含む褒賞・報酬とは意味合いが異なります。また、褒賞・報酬は法的規制や保護を受ける概念のものではありません。

●所定内賃金

所定内賃金のうち基本給は、賃金の基本となる部分で、年齢・学歴・金属年数などの属人給、職務内容により異なる仕事給、そして属人給と仕事給を掛け合わせた総合給のいずれかで決定されるのが一般的です。
仕事給は、従業員個人の職務遂行能力(知識、経験、技術、資格、リーダーシップ力、コミュニケーション力、ストレス耐性など)を基準とした「職能給」と、これまでに積み上げてきた経験や培ってきたスキルが評価基準となる「職務給」に分けられる場合がありますが、職能給は年功的賃金になりやすいという課題があるため、近年では「職能給」に加え、「成果給」が導入させる傾向が多く見られます。

●所定外賃金

所定内賃金以外の労働に対して支給される賃金で、超過勤務手当(残業手当)、休日出勤手当、深夜労働の割増賃金などがあります。毎月固定的に支給される所定内賃金に対し、所定外賃金は変動のある賃金が該当します。残業手当・休日出勤手当・深夜労働手当にはそれぞれ労働準法により割増手当の付加が定められており、労働賃金にプラスして割増手当を支給しなければなりません。なお、残業手当の基準は法定労働時間の上限である「1週間40時間」及び「1日8時間」を超える労働とされています。

●最低賃金制度

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき、国が賃金の最低限度を定め、使用者はその最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。使用者が最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められ、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法に罰則(30万円以下の罰金)が定められています。

労働者を保護する労働三法

日本には、労働者を守る様々な法律がありますが、その中でも基本となるものが、労働者の基本的権利について規定する「労働組合法(労組法)」「労働関係調整法(労調法)」「労働基準法(労基法)」の労働三法です。労働三法はそれぞれ特徴があり、労組法は憲法第28条の労働者の団結権・団体交渉権・争議権の保障を効果的に実現することを目的とした法律、労調法は労組法と相まって集団的労働関係の調整を図ることを目的とした法律、そして労基法は労働条件に関する最低基準を定めることで、労働者の権利や生活を守ることを目的とした法律となっています。

●労働基準法

労働基準法は、労働条件の最低基準を定める日本の法律で、日本国憲法第27条に定められた「労働権」に基づいて1947年に制定されました。労働者が持つ生存権の保障を目的として、労働契約や賃金、労働時間、休日及び年次有給休暇、災害補償、就業規則などの項目に対し、労働条件としての最低基準を定めています。
労働基準法は、労働者の保護法としての役割を担うため、労働者の労働条件として最低限度の定めとなっているため、仮に使用者と労働者間で合意された労働契約であったとしても、労働基準法の定めを下回る労働条件は無効となります。労働基準法は罰則のある法律であることを留意し、使用者は労働基準法の定めを遵守しなければなりません。

●労働組合法

労働組合法は、労働組合の規定等を定める日本の法律で、労働者が使用者との交渉において対応の立場に立つことを促進することにより、労働者の地位を向上させることを目的として制定されています。また、労働者が、その労働条件について交渉するために、自ら代表者を選出することその他の団体行動を行うために自主的に労働組合を組織し、団結することを擁護すること、並びに使用者と労働者との関係を規制する「労働協約」を締結するための団体交渉をすること及びその手続を助成することを目的として制定されています。
立場上の弱者となる労働者は、労働組合を結成し、労働者と使用者(会社)の間で「労使協定の締結」と「就業規則の規定」を併せて行うことで、時間外労働や休日労働の際、使用者が労働基準法違反に問われることなく、また罰則を受けずに労働を行うことが可能となります。

●労働関係調整法

労働関係調整法は、労働関係の公正な調整を図り、労働争議の予防または解決をもって産業平和の維持、経済の興隆に寄与することを目的として制定されています。労働関係調整法の役割は、「労働争議」により使用者と労働者との紛争に発展した際、紛争解決に向けて労働委員会が斡旋・調停・仲裁を進める点にあります。その他、安全保持施設の正常な維持や、進行を阻害する争議行為の制限または禁止などの規定が定められています。

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