事業戦略から考える。後悔しないブランド名の決め方とは

失敗しないブランド名の決め方と判断基準を5ステップで解説します。

Introduction

ブランド名の決め方が重要な理由

ブランド名は単なる呼称ではなく、企業や事業の価値を端的に伝える重要な経営資産です。特にtoBでは、比較検討の初期段階でブランド名から受ける印象が、信頼性や選定可否に大きく影響します。安易に決めた名前は後から修正が難しく、事業成長の足かせになることもあります。

ブランド名が売上や集客に与える影響

ブランド名は、顧客が最初に触れる情報の一つです。分かりにくい名前や意味が伝わらない名称は、比較対象から外される原因になります。一方、事業内容や価値が想起しやすいブランド名は、営業・集客・採用の初期ハードルを下げ、結果的に売上機会の最大化につながります。

良いブランド名の共通点と3つの条件

良いブランド名には共通点があります。それは「誰に何を提供するかが伝わる」「競合と混同されない」「将来の事業拡張にも耐えられる」の3点です。これらを満たさない場合、説明コストが増えたり、後から名称変更を余儀なくされるリスクが高まります。

《良いネーミング 3つのポイント》
1. 誰に何を提供するかが伝わる
2. 競合と混同されない
3. 将来の事業拡張にも耐えられる

ブランド名を決める前の準備(コンセプト設計)

ブランド名の失敗は、ネーミング以前の準備不足から起こります。事業の方向性や価値が整理されていない状態で名前を考えても、軸のない案しか生まれません。まずはコンセプト設計を行い、ブランド名の判断基準を明確にすることが重要です。

ブランドのターゲットとペルソナを明確にする

toBでは、意思決定者と利用者が異なるケースも多く、誰に向けたブランド名なのかを明確にしないと訴求がぼやけます。そのためブランド名は、最も重視すべきターゲットにどのような印象を持たれたいかを起点に設計する必要があります。

提供価値(USP)とブランドイメージを言語化する

自社の強みや独自性が言語化できていない状態では、説得力のあるブランド名は生まれません。競合と比べた際の価値や、持たせたいブランドイメージを整理することで、ネーミングの方向性が明確になり、感覚論による判断を防ぐことができます。

競合他社のブランド名をリサーチ・分析する

競合のブランド名を分析することで、業界内のネーミング傾向や差別化ポイントが見えてきます。被りを避けるだけでなく、あえて寄せる・外すといった戦略的判断が可能になり、自社の立ち位置を明確にしたブランド名設計へとつながります。

ブランド名の具体的な決め方・ネーミング手法8選

ブランド名の付け方にはさまざまな手法がありますが、重要なのは手法そのものではなく、事業や戦略に合っているかどうかです。以下は代表的なネーミング手法であり、目的に応じて使い分けることが求められます。

1.創業者の名前や地名から採用する

創業者名や地名を用いたブランド名は、歴史やストーリー性を持たせやすく、信頼感を醸成しやすい手法です。特に地域密着型や専門性の高い事業では有効に機能します。一方で、事業拡張や多角化を行う際にブランドの意味が合わなくなる可能性があり、将来の展開を見据えた慎重な判断が求められます。

2.サービス内容をそのまま表現する(説明型)

提供するサービス内容を直接的に表現する説明型ネーミングは、初見でも事業内容が伝わりやすく、理解コストを下げられる点が特徴です。toBでは検討スピードを重視される場面も多く、有効なケースがあります。ただし競合と似た名称になりやすく、差別化やブランドの独自性をどう担保するかが課題となります。

3.既存の単語を組み合わせる(造語型)

複数の単語を組み合わせて造語を作る手法は、独自性の高いブランド名を生み出しやすいのが特徴です。競合と被りにくく、商標面でも有利な場合があります。ただし、意味や背景をきちんと設計しなければ、覚えにくく説明が必要な名前になり、定着しづらくなるリスクがあります。

4.外国語(ラテン語・フランス語等)を活用する

外国語を用いたブランド名は、洗練された印象や専門性の高さを演出しやすい手法です。特にテクノロジーやコンサルティング領域で多く見られます。一方で、意味が伝わりにくかったり、発音しづらい場合は逆効果になることもあるため、分かりやすさとのバランスが重要です。

5.単語の一部を省略・短縮する

既存の単語やフレーズを省略・短縮することで、覚えやすく親しみやすいブランド名を作ることができます。略称として自然に使われやすい点がメリットです。ただし、省略しすぎると意味が伝わらなくなるため、ブランドの価値や方向性が損なわれていないかを慎重に検討する必要があります。

6.擬音語・擬態語を取り入れる

擬音語や擬態語を使ったネーミングは、直感的で印象に残りやすいのが特徴です。サービスの特徴や体験価値を感覚的に伝えやすい一方、toBでは軽い印象を与えすぎないか注意が必要です。信頼性とのバランスを見極めた上で採用することが重要です。

7.象徴的な動物や植物の名前を引用する

動物や植物の名前を用いることで、ブランドに象徴的な意味や世界観を持たせることができます。イメージ喚起力が高く、ブランドストーリーと相性の良い手法です。ただし、単なるイメージ先行にならないよう、その象徴が事業価値と結びついているかを明確にする必要があります。

8.アルファベットの響きや文字数で決める

アルファベットの響きや文字数を重視したネーミングは、視認性や覚えやすさに優れています。短くシンプルな名前は使いやすい反面、意味が伝わりにくくなることもあります。響きの良さだけでなく、ブランドとして説明できる背景設計が重要です。

納得感を生むブランド名の決定5ステップ

ブランド名は、アイデアの良し悪しだけで決まるものではありません。重要なのは、関係者が納得できるプロセスを踏んでいるかどうかです。特にtoBでは、複数の意思決定者が関わるため、感覚論で決めると後から必ず揉めます。そこで有効なのが、思考の順序を整理した5つのステップです。このプロセスを踏むことで、後悔や対立を防ぎ、長期的に使えるブランド名を導き出すことができます。

Step1:キーワードを書き出す(ブレインストーミング)

ブランド名のネーミング開発では、いきなり名前を考えるのではなく、最初に事業に関わるキーワードを書き出すことが重要です。提供価値、強み、目指す世界観、顧客に与えたい印象などを言語化することで、ネーミングの土台ができます。この工程を省くと、後工程で感覚論に陥りやすくなり、社内合意も得にくくなります。

Step 2:ネーミング手法を組み合わせて案を量産する

キーワードが整理できたら、複数のネーミング手法を使って案を量産します。最初から完成形を狙うのではなく、数を出すことが重要です。選択肢が多いほど比較検討がしやすくなり、結果として納得感のある決定につながります。量を出さずに絞ると、後から後悔するリスクが高まります。

Step 3:候補を絞り込み、客観的な視点で評価する

候補が出そろったら、好みではなく評価軸で絞り込みます。覚えやすさ、伝わりやすさ、信頼感、将来の拡張性など、事業にとって重要な観点を設定することで、主観的な対立を防げます。toBでは特に、第三者視点でどう見えるかを意識することが不可欠です。

Step 4:ドメイン・SNSアカウントの空き状況を確認する

ブランド名は、WebやSNSで使えて初めて機能します。ドメインやアカウントの空き状況を確認せずに決めると、後から運用面で大きな制約が生じます。特にtoBでは公式サイトの信頼性が重要なため、実運用を見据えたチェックが欠かせません。

Step 5:商標登録の可否を調査する

最終段階では、商標登録の可否を必ず確認します。商標リスクは、後から発覚すると名称変更や事業停止といった致命的な影響を及ぼす可能性があります。ブランド名は簡単に変えられないからこそ、法的観点を含めた慎重な判断が、長期的なブランド価値を守ります。

ブランド名は自社で決めるべきか?外注すべきかの判断基準

ブランド名は、必ずしも外注すべきものではありません。重要なのは、戦略性・客観性・リソースの3点を自社で確保できるかどうかです。これらが揃っていれば内製も可能ですが、欠けている状態で進めると、感覚論や社内対立に陥りやすくなります。自社の状況を冷静に見極めたうえで、最適な進め方を選ぶことが重要です。

自社でブランド名を決めても問題ないケース

自社でのネーミングが向いているのは、小規模かつ短期利用を想定したブランドの場合です。また、意思決定者が明確で、判断が迅速に行える体制が整っていることも重要な条件です。将来的に名称変更の影響が小さい場合であれば、スピード重視で内製する選択も合理的と言えます。

ブランドコンサル・外注を検討すべきケース

toB事業や法人向けサービスなど、長期的に使い続けるブランドでは外注を検討すべきです。複数の意思決定者が関わり、意見が割れやすい場合や、ブランド戦略と一体で設計する必要がある場合は特に有効です。商標や海外展開、将来の拡張性まで考慮するには、専門的な視点が不可欠になります。

後悔しないために!ブランド名決定時の注意点とチェックリスト

ブランド名は一度決めると簡単には変更できません。そのため、最終決定前にリスクを洗い出すことが重要です。特にtoBでは、名称の分かりにくさや誤解が信頼低下につながる可能性があります。ここでは、後悔を防ぐために必ず確認すべき代表的なチェックポイントを整理します。

覚えやすく、発音しやすいか(読み間違いがないか)

覚えにくい、読み方が分かりにくいブランド名は、営業現場や紹介の場面で使われなくなります。説明が必要な名前は、それだけでコミュニケーションコストが発生します。誰でも直感的に読めて発音できるかを確認することが、ブランド定着の第一歩です。

不吉な意味やネガティブな連想をさせないか

意図していなくても、言葉の響きや連想によってネガティブな印象を与えてしまうことがあります。特にtoBでは、信頼性や安心感が重要な判断軸となるため、マイナスイメージは致命的です。複数人で客観的に確認し、想定外の印象がないかを検証する必要があります。

海外展開を見据えた際に、他言語で変な意味にならないか

将来的な海外展開やグローバル取引を考える場合、他言語での意味や発音も重要です。別の言語で不適切な意味を持つ場合、ブランド価値を損なう恐れがあります。今は国内向けでも、将来を見据えたチェックがリスク回避につながります。

流行を追いすぎて、数年後に古臭くならないか

一時的なトレンドに乗ったブランド名は、短期的には目を引いても、数年後には古く感じられることがあります。長く使い続ける前提のブランドでは、普遍性や耐久性が重要です。流行よりも事業の本質に根ざした名前かどうかを見極める必要があります。

パドルデザインカンパニーが支援するブランド名開発の特徴

パドルデザインカンパニーは、ネーミング単体のアイデア出しではなく、事業戦略から逆算したブランド名設計を行います。ブランド名を「考えるもの」ではなく「意思決定するもの」と捉え、事業の方向性や将来像まで踏まえて設計することで、長期的に価値を持ち続けるブランドづくりを支援します。

ネーミングだけで終わらせない「ブランド戦略起点」の設計

事業の本質や競争優位性を丁寧に言語化し、それを起点にブランド名を設計します。なぜその名前なのかを明確に説明できるため、社内外への共有や合意形成がスムーズになります。感覚的な判断ではなく、ロジックに基づいた設計を重視しています。

toB・法人向けブランド支援に強い理由

toBビジネスでは、複数の意思決定者が関わり、ブランド名にも信頼性や説明性が求められます。パドルデザインカンパニーは、こうした前提を踏まえ、営業・採用・IRなど多方面で機能するブランド設計を行います。短期的な印象ではなく、事業成長を支える設計が特長です。

「丸投げ」ではなく「意思決定を支援」する伴走型コンサルティング

案を提示して終わるのではなく、決めきれない理由や揉めやすいポイントを設計段階で整理します。クライアントと伴走しながら意思決定を支援することで、負担を最小化しつつ、納得感のある結論へ導きます。自社だけでは難しい判断を、第三者視点で支える体制です。

ブランド名開発 ネーミング事例3選

ブランドの価値を端的に伝えるネーミングは、認知や共感を生む重要な要素です。パドルデザインでは、事業背景や将来像を丁寧に読み解き、意味性と響きを両立したブランド名を開発しています。ここでは、想いを的確に言語化した3つのネーミング事例をご紹介します。

NACTUS

業界での知名度が高い日進医療器様の「N」と製品特徴である「ACTIVE」、「満ちる」を意味する「OUS」を組み合わせた造語。積極的に毎日を楽しむユーザー像を想起させるブランドネームを開発しました。

トリ&ハイ

ブランド名「トリ&ハイ」は、看板商品である鶏料理とハイボールを掛け合わせた、業態が直感的に伝わるネーミングです。覚えやすく親しみやすい響きで、幅広い客層に訴求。ロゴや世界観展開とも高い親和性を持ち、新ブランドの象徴となる名前として機能しています。

シモダL&C株式会社

新社名「L&C」は、Link(つなぐ)とCreate(つくる)を軸に、顧客との連携から新たな価値を生み出す姿勢を表しています。従来の強みを進化させ、自動車やメディカルなど多様な領域に加え、新規事業にも挑戦し続ける企業の意思を端的に表現しました。

ブランド名が決まった後にすべきこと

ブランド名は決めて終わりではなく、運用して初めて価値を持ちます。名称をどのように見せ、守り、伝えていくかによって、ブランドの浸透度や信頼性は大きく変わります。特にtoBでは、社内外で一貫した使われ方ができるよう、決定後の設計と準備が重要になります。

ロゴデザインの制作

ブランド名を視覚的に定着させる役割を担うのがロゴデザインです。文字情報だけでは伝わらない世界観や価値を視覚化することで、認知や記憶に残りやすくなります。toBでは信頼感や専門性が求められるため、単なる装飾ではなく、ブランドの意図を反映した設計が重要です。

商標出願と権利の確保

ブランド名を安心して使い続けるためには、商標出願による権利確保が欠かせません。後から権利侵害が発覚すると、名称変更や事業への影響といった大きなリスクを伴います。長期的にブランドを育てる前提で、法的な観点からの対応を早期に行うことが重要です。

ブランドストーリーの構築と発信

ブランド名に込めた意味や背景を言語化し、ストーリーとして発信することで、ブランドへの理解と共感が深まります。toBでは、営業資料や採用活動、社内共有など多くの場面で活用でき、ブランドの一貫性を保つ役割も果たします。名前の価値を最大化するための重要な工程です。

ブランド名の決め方で重要な10の質問

ブランド名を検討する中で、多くの企業が同じような疑問や不安に直面します。「自社で決めてよいのか」「後から問題が起きないか」「そもそも何を基準に判断すべきか」。特にtoB事業では、意思決定の影響範囲が広く、曖昧な判断は後悔につながりがちです。ここでは、ブランド名を決める際に必ず押さえておきたい代表的な10の質問と、その考え方を整理します。

Q1. ブランド名の決め方で一番重要なポイントは何ですか?

最も重要なのは、事業戦略と一貫しているかです。覚えやすさや響きだけでなく、誰に何を提供するブランドなのかが伝わることが不可欠です。戦略と切り離されたネーミングは、後から必ず違和感や修正が生じます。

Q2. ブランド名は自社で決めるべきですか?外注すべきですか?

戦略性・客観性・リソースを自社で確保できる場合は内製も可能です。一方、toB事業や長期利用を前提とする場合、第三者視点を取り入れることで、後悔や社内対立を防ぎやすくなります。

Q3. toBとtoCでブランド名の考え方は違いますか?

はい、異なります。toBでは「信頼性」「説明性」「納得感」が重視され、奇抜さよりも理解しやすさが重要です。意思決定者が複数いる前提で、長期的に使える設計が求められます。

Q4. ブランド名と会社名・サービス名は分けた方が良いですか?

一概には言えませんが、事業拡張や複数サービス展開を想定する場合は分けた方が柔軟です。ブランドの役割や将来像を整理した上で、最適な構成を判断することが重要です。

Q5. 造語のブランド名は問題ありませんか?

問題ありません。ただし、意味や背景をきちんと設計しないと、覚えにくく説明が必要なブランド名になります。toBでは「なぜそのブランド名なのか」を説明できる設計が特に重要です。

Q6. ブランド名を決める際、必ず確認すべきことは何ですか?

覚えやすさ、競合との差別化、将来の事業拡張、ドメインや商標の可否などです。これらを確認せずに決めると、後から修正コストやリスクが発生しやすくなります。

Q7. 商標登録は必ず必要ですか?

必須ではありませんが、長期利用を前提とする場合は強く推奨されます。後から権利問題が発覚すると、名称変更や事業への影響が大きくなるため、事前確認が重要です。

Q8 .ブランド名は後から変更できますか?

変更は可能ですが、認知・信頼・コストの面で大きな影響があります。特にtoBでは影響が大きいため、最初の設計段階で慎重に判断することが重要です。

Q9. 社内で意見が割れてブランド名が決まりません。どうすればいいですか?

評価軸を明確にし、好みではなく基準で判断することが重要です。それでも難しい場合は、第三者視点を入れることで合意形成がスムーズになるケースが多くあります。

Q10. まだ何も決まっていない段階でも相談できますか?

もちろん問題ありません。多くの企業が「何から考えるべきか分からない」状態から相談されています。パドルデザインカンパニーでは、方向性整理や判断材料の提供から支援することが可能です。

まとめ:ブランド名は事業戦略の一部。後悔しないための判断とは

ブランド名は、単なるネーミング作業ではなく、事業の価値や将来を左右する重要な意思決定です。本記事で紹介した考え方やプロセスを踏むことで失敗のリスクは減らせますが、toB事業や長期利用を前提とする場合、自社だけで判断するのが難しい場面も少なくありません。もし「この進め方で本当に良いのか」「社内で決めきれない」と感じたら、第三者の視点で整理することも一つの選択肢です。パドルデザインカンパニーでは、方向性整理の段階からご相談いただけます。

ブランディングチーム

パドルデザインカンパニーには、プロジェクト全体を統括するプロデューサーやブランディングディレクターをはじめ、コピーライター、エディトリアルライター、アートディレクター、ブランドデザイナー、Webデザイナー、映像ディレクターなどが在籍し、プロジェクト毎に最適なチーム編成を行うことでブランドを最適解へと導いていきます。

記事制作/プロデューサー

ご相談や課題を受け、実施プランの策定やプロジェクトの大まかなスケジュールなどを策定します。また、プロジェクトのゴール設定やマーケティング環境分析、市場分析などを行い、市場で勝ち抜くブランド戦略提案などを行います。

Producer
CEO 豊田 善治

東京のブランディング会社 パドルデザインカンパニー

パドルデザインカンパニーは、5職種で編成されたブランディングカンパニー。ブランドコンサルティングとデザイン会社の両側面を持ち合わせ、クライアントの課題に実直に向き合います。南青山に構える本社を主な拠点に、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を中心に、北海道から沖縄まで全国対応可能です。