ブランドらしい言葉遣い「バーバル・アイデンティティ」
デザインに“らしさ”があるように、言葉にも“らしさ”がある。
ブランドの言葉遣い「バーバル・アイデンティティ」と、語り口調「トーンオブボイス」とは。
バーバル・アイデンティティとは
バーバル・アイデンティティの「バーバル(Verbal)」は、英訳すると「言葉の・話し言葉で表した」などの意味を持つ形容詞で、バーバル・アイデンティティは「ブランドらしい言葉遣い」となります。日本企業ではコーポレート・アイデンティティ(以降CI)、ビジュアル・アイデンティティ(以降VI)、マインド・アイデンティティ(以降MI)などが注目され規定するブランドが多くありますが、バーバル・アイデンティティは見落とされがちだと言えます。
一方、ブランドの人格を定める「ブランドパーソナリティ」では、どのような人柄か、どのような話し方をするのかなど、本来ブランドが持つ性格を定義することから、バーバル・アイデンティティもブランドパーソナリティを規定するうえで不可欠な要素のひとつであり、「ブランドらしい言葉遣い」をトーンオブボイス(tone of voice)として定義することが大切です。
ブランドとしての語り口調「トーンオブボイス」
トーンオブボイス(tone of voice)を英訳すると、トーン(tone)は調子、ボイス(voice)は声となり、声の張り方(声の調子)を通じてビジネスの特徴を伝える手段として、マーケティングで使用されています。また、トーンオブボイスは内容ではなく、ブランドが発する言葉に接したすべての人に、ブランドの印象を残すための語り口調を定義していきます。 類似するものには「トーン&マナー」がありますが、トーン&マナーはブランドデザインに一貫性を持たせるための、色やフォントなどの規定であるため、混合しないよう注意が必要です。
トーンオブボイスの参考例
「誠実さ、実直さ、素直さ」などの印象を残したいブランドと、「賢さ、明快さ、頼り甲斐」などの印象を与えたいブランドでは、そのトーンオブボイスは明らかに異なると言えます。誠実さを印象付けたいブランドは「〜です。」と語り掛ける必要がある一方、活発さを印象付けたいブランドは「〜である。」と語尾を括り、ブランドを印象付けたりします。その他、「フレンドリーでカジュアルに」であったり、「優しく寄り添う」など、どのようなブランドであるかを印象付けるには、トーンオブボイスはとても重要なポイントであることが分かります。
では、トーンオブボイスはどのような基準で定義していくべきなのか、それはブランドの人格(性格)を定義した「ブランドパーソナリティ」が大きく関係していきます。
トーンオブボイスとブランドパーソナリティ
トーンオブボイスは、ブランドの人格(性格)を定義したブランドパーソナリティを拠りどころに開発されます。そして、その人格がどのような語り口調であるのかによりトーンオブボイスが決定されることから、トーンオブボイスはブランドパーソナリティの一部であると言っても過言ではありません。また、ブランド名・ブランドロゴ・パッケージデザインなど、トーンオブボイスが含まれるVIも、ブランドパーソナリティを拠りどころに開発されることから、トーンオブボイスはVIの一部であるとも言えます。
ブランドパーソナリティが定義され、VIとトーンオブボイスの双方が策定されることにより、“ブランドらしさ”が統一され、より確かなものになると言えます。ブランディングの目的は自社優位性の確立であり、他社との差別化であることから、CI/VI/MI策定時には、トーンオブボイスも並行して策定していくことが大切です。
アウターコミュニケーションにおいて不可欠なトーンオブボイス
トーンオブボイスは、ブランド運用において、とても重要な役割を果たします。トーンオブボイスでは、ブランドらしい語り口調を規定することで、SNS発信や広告コミュニケーションにおける統一性を持たせることができます。これにより、消費者とのコミュニケーションに一貫性が生じ、信頼関係構築を図ることができるだけでなく、社内チェックの負担を軽減することもできます。 だからこそ、トーンオブボイスをバーバル・アイデンティティとして定義し、確かな社内共有を図ることが大切です。トーンオブボイスは基本的に、社内共有のためのレギュレーションで規定し、社外に開示するものではないため、ブランドらしさ、そしてブランドの世界観共有を第一に策定することが肝要です。
●トーンオブボイス策定のポイント
トーンオブボイス策定には大きく2つのポイントがあげられます。自社ブランドらしさの定義に向け、この2つのポイントを念頭に置き、ブレることのないトーンオブボイスを規定していくことが大切です。
ブランドパーソナリティに紐付ける
前述する通り、ブランドの人柄(性格)を定義するブランドパーソナルとトーンオブボイスはとても緊密な関係にあります。ワイルドな人柄では力強い語り口調が適している一方、いつも紳士でスマートな人柄では丁寧な語り口調が適していると言えます。このようにブランドパーソナリティに適したトーンオブボイスであることが、ブランドらしさを築き上げていきます。
語り口調はひとつに絞る
トーンオブボイスを人に置き換えて考えてみるとわかりやすいですが、もし状況や人により語り口調が変わる人がいたとしたら、自分の目にはどのように映るでしょうか。「この人は、本当はどんな人なのだろう?」「相手を見て態度を変えるのか」など、その人に対する不信感が生まれるのではないかと思います。ブランドのトーンオブボイスも同様で、状況により語り口調が変わってしまうと、顧客の混乱を招くばかりか、ブランドへの信頼を失いかねません。大切なのは、いつ、どのようなシーンにおいても、ブランドの語り口調が変わらず統一されていること。すなわち、語り口調をひとつに絞ることです。
●情報発信時の留意点
ブランドからの情報発信を行う際には、顧客とのさらなる信頼関係構築に向け、主に注意すべきポイントが2つあげられます。ファンづくりのために行う情報発信で、ファンの信頼を失うことのないよう、情報発信時には以下2点に留意することが大切です。
伝えたいコンセプトを常に念頭に置く
特にSNS発信において注意が必要だと言えますが、ブランドから情報発信の際は、何を伝えたいのか、そのコンセプトを常に念頭に置くことが大切です。やみくもな情報発信や目的の伝わらない情報発信、さらにはブランドコンセプトとかけ離れた情報発信は、顧客の不信感を招くばかりか、顧客離れを起こしかねません。情報発信が容易な現代だからこそ、安易な情報発信を行うのではなく、ブランドとして一貫されたトーンオブボイスで、明確な目的を持って情報発信を行うことが大切です。
顧客とのコミュニケーションを怠らない
現代のSNSコミュニケーションは、顧客と双方向のコミュニケーションが基本となることから、密なコミュニケーションを心掛けることが大切です。もし顧客から質問や意見があった際は、時間を空けることなく迅速に回答し、顧客との信頼関係を築いていかなければなりません。また、コミュニケーションを図る際のトーンオブボイスも統一し、一貫してブランドらしいコミュニケーションを図ることも大切です。
《関連するサービス》
企業ブランディング
採用ブランディング
周年事業ブランディング
インナーブランディング
ブランドコンサルティング
グラフィックデザイン
Webデザイン
動画・映像制作
《関連する実績紹介》
ブランディング実績
CI開発実績
Webサイト制作実績
動画・映像 制作実績
パンフレット制作実績
カタログ制作実績
リーフレット制作実績