アイデアやひらめきから、市場シェアを席巻する。

新たな価値創出から新たな市場を生み出す、革新型ビジネスを学びます。

Introduction

革新型ビジネス

革新型ビジネスとは、今まで存在しなかった新しい市場を創出するようなビジネス、または現存するビジネスに他社とは全く異なる新たな価値を導入することで、全く新しい市場を創出するようなビジネスを指しています。市場を席巻する新製品や新サービスの大半は、前記するいずれかの方法で生み出されており、ここでは①新市場型ビジネス、②新価値提供型ビジネスとして、革新型ビジネスを深掘りしていきます。

新市場型ビジネス

新市場型ビジネスは、ビジネス・イノベーションで解説する新市場 破壊的イノベーションに類し、革新的技術を用いた製品・サービスをまったく新しい市場に投入し、新たな市場をつくり出していきます。新市場型ビジネスは、大規模な投資を必要とする「投資型事業」と、小さなアイデアを形にしていく「ひらめき型事業」があり、ここでは多くの中小企業が新市場 破壊的イノベーションを起こしている「ひらめき型事業」にフォーカスして、新市場型ビジネスシステムの構築方法を見ていきたいと思いますが、その構築プロセスには大きく2つのステップが考えられます。

①従来までの固定概念を無くしゼロベースで思考する

業種的・業界的にある従来までの常識を一旦リセットし、「こんな製品やサービスがあったら便利なのではないか?」「市場はこんな製品やサービス望んでいるのではないか?」など、市場ニーズを先読みしてアイデア創出をしていきます。まったく新しい製品・サービスを市場に投入する場合、マーケティング調査からその市場性を読み解くことはとても難しいため、自社内の従業員をはじめ、家族、知人、友人など、あらゆる潜在顧客にヒアリングし、新製品・新サービスの可能性を模索していくことが大切です。また、ある程度可能性を見出した後には、他社との明らかな違い(差別化)をいかにして作り上げていくか、ブランディングを視野に入れながら新事業を推進していかなければなりません。

②仮説と検証を繰り返し可能性を高めていく

従来までの常識にはない新製品・新サービスは、すべて小さなアイデアからはじまり、市場ニーズの仮説を立てることで事業化の一歩を踏み出していきますが、ここで大切なのは、当初のアイデアをあらゆる角度から疑い、その仮説が正しいかを繰り返し検証し、新製品・新サービスの精度を高めていくことです。仮説の検証は、できるだけ多くの人にヒアリングをして、YES/NOの意見を徴収する定量面と、この製品・サービスにいくらの価値をつけるか、いくらなら購入しても良いかなどの定性面の双方から行い、事業採算性の分析を行うことも忘れてはなりません。
一方新市場の創出は、スピード感がとても重要なため、20-80のルールに則り20の手間で80%の精度まで検証できたら、次のステップへと進行することも重要です。仮説検証に時間をかけ過ぎたばかりに他社に先を越されることがないよう、迅速な準備と実行が大切です。

新製品・新サービスの開発プロセス

新製品・新サービスの開発プロセスは、以下図の通り、4段階9ステップで考えることができます。

第一段階:製品コンセプトの開発

新製品・新サービスの開発は、個々の小さなアイデア収集を行うことからはじまります。このアイデアの源泉は、自社技術の応用から想起したシーズ型と、市場ニーズから生まれるニーズ型に分けられますが、新製品や新サービスの多くは、顧客の声を大切にした結果生まれるニーズ型が主流であると言えます。そうして提起されたアイデアの精度を高めるため、前述する②仮説と検証を繰り返し行い、製品コンセプトを開発していきます。

第二段階:戦略の検討

戦略の検討フェーズでは、前段までに検証し、開発された製品コンセプトに基づき、今回の新製品・新サービスをどのような戦略で市場へとリリースしていくか、マーケティング戦略の検討と事業経済性の分析を図ります。なおマーケティング戦略は、①ターゲットのセグメンテーション②製品・サービスのポジショニング③価格戦略④流通戦略⑤プロモーション(コミュニケーション)戦略⑥短期・中期販売目標の設定⑦ブランディングの順で策定していきます。
また、事業経済性の分析は策定した①〜⑦でマーケットインした際のシナリオを複数想定し、簡単なシミュレーションを行い、収益性にインパクトをもたらす要因を見極め、感度分析を行うことが大切です。

第三段階:製品化

製品化フェーズでは、第一段階で策定された製品コンセプトに基づき、第二段階で策定されたマーケティング戦略を念頭に製品・サービス開発を行います。開発された製品・サービスはテスト・マーケティングの後、製品・サービスの生産を行い、市場へのリリース準備へと進めていきます。

第四段階:市場参入

そしていよいよ市場参入です。第二段階で策定されたターゲット・セグメントに向け、同じく第二段階で定めた流通戦略に従って市場への浸透を図ります。また並行してプロモーション(コミュニケーション)戦略を実行し、短期・中期販売目標を目指すとともに、製品・サービスブランドの確立を図ります。

新価値提供型ビジネス

新価値提供型ビジネスは、ビジネス・イノベーションで解説する創造的イノベーションに類し、顧客の意見や要望を取り入れながら、まったく新しい価値を創出し、新たな市場をつくり出していきます。現存する市場には、何かしらのパラダイム(ルールや規則性)が存在し、そのパラダイムに基づき市場優位を築く企業が大きなシェアを握っていると言えます。
刻々と変化する市場の中で築き上げたパラダイムはいずれ陳腐化し、環境の変化とともに市場の新たなニーズが生まれるタイミングが必ず訪れます。そうした時代のニーズをいち早く察し、新たなパラダイムを持ち込んだビジネシスステムを作り上げることで、市場シェア獲得から自社ブランドの構築を図りますが、その構築プロセスには大きく3つのステップが考えられます。

①市場の競争優位性を確認・分析する

成熟した市場には多くのプレイヤーが存在し、大きな市場シェアを握るリーダー企業が競争の中で築き上げてきた市場優位性に基づき熾烈な競争が行われています。そして、チャレンジャー、フォロワーに該当する各企業は、リーダー企業の市場優位性に基づき、独自のビジネスシステムを構築しています。業種・業界によりパラダイムや優位性は多種多様ですが、どのような業種・業界であっても、まずは市場参入する競合他社がどのような競争優位性で市場価値を確立しているのかを確認・分析し、正しく見極めることが大切です。

②市場の変化を認識する

現存する市場に新たな価値を提供し、新たな市場を打ち出していくためには、従来まで満足していた市場の環境がどのように変化したのかを認識する必要があります。マクロな視点では、人口動態(人口の移動・増減など)、経済(経済成長率、個人消費、税制など)、自然環境(SDGsなど)、政治・法律(法律改正、規制など)、文化(ライフスタイル、価値観など)、そして業界動向などが考えられます。特に近年では、100年に一度のパンデミックが起こり、あらゆる市場において従来の価値観に大きな変化が見られており、様々な業種・業界で新たな価値提供が行われています。

③新たな競争ルールを構築する

競争優位性の確認・分析から競合他社の市場価値を見極め、市場の変化を認識した後、新たな競争ルール(パラダイム)を描き、ビジネスシステムを構築していきます。成熟した市場で勝ち抜くには、従来の競争ルールを覆し、新たな競争ルールのもと自社優位性を打ち出すことで、簡単には真似のできない新ブランドを構築していくことが大切です。

デファクト・スタンダード

革新型ビジネスの最も理想的なゴールと言えるのが、その業界におけるデファクト・スタンダードになることです。デファクト・スタンダードは、市場競争の結果、勝ち抜いた規格が、公的な認証がないにも関わらず、事実上の業界標準として認められることを意味しています。例えば、パソコン業界におけるマイクロソフト、ソフトウェア業界におけるアドビ、私たちデザイン業界においてはマッキントッシュを製造するアップル、DTPフォントを提供するモリサワなどもデファクト・スタンダードに該当すると言えます。
デファクト・スタンダードとなることで、シェアがシェアを呼び、特許や著作権を持つ製品であれば尚更、市場になくてはならない存在となるため、市場での価格競争に巻き込まれることなく、安定した売上を築くことができるようになります。ここで注意しなければならないのは、純粋に市場シェア獲得などのスケールメリットを追い求めた結果の先に、必ずしもデファクト・スタンダードがある訳ではない。ということです。食品やサービス業など、デファクト・スタンダードが存在しづらい業種もあることを留意しておかなければなりません。

●複数企業が連携して標準規格を定める

一方、デファクト・スタンダードが確立するまでには、市場競争の結果に至るまでの長い時間を要することから、近年では、複数企業が連携し標準規格を策定する傾向が強くなっています。特にITや情報通信分野においては、デファクト・スタンダードを待っていては技術革新に追いつけないため、コンソーシアム標準やフォーラム標準として実質的な標準を定めています。
その他、公的機関や標準化機関により標準規格と定められたものを指す「デジュール・スタンダード」があります。デジュール・スタンダードの代表例には、非常口のマーク、クレジットカードのサイズ、ネジの大きさ、乾電池などがあり、国際標準化機構(ISO)、米国国家規格協会(ANSI)、日本産業企画(JIS)により定められています。

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