製品戦略
製品戦略は、事業戦略に直結する。
製品開発の基本プロセス「製品戦略」を学びます。
基軸となる「製品コンセプト」を策定する
製品開発において基軸となるのが「製品コンセプト」です。製品コンセプトは、製品の特徴を決定づける要因となり、企画・立案フェーズから、設計・開発フェーズ、製造フェーズ、そして販売フェーズに至るまで全ての事業関係者間で共有され、競合製品との差別化にも不可欠です。また、効果的なプロモーションや以降のブランディングにも重要な役割を果たします。製品コンセプトは主に以下の3つの要素で構成されることを念頭に、まずは基軸となる「製品コンセプト」を策定する事が重要です。
●ターゲット(誰に向けた製品か)
ターゲットの策定には、ペルソナ設定が多く活用されています。ペルソナとは、製品・サービスを購入して欲しいコアターゲットを「架空の典型的ユーザー像」として描き、細部に渡りコアターゲットのライフスタイルや趣味・趣向、さらには人となりまで作りこむ事で、開発チーム内で明確なターゲットの共通認識が持てる他、ユーザー視点での製品・サービス開発が可能になります。 ペルソナの主な構成要素は、仮名、性別、年齢、学歴、収入、家族構成、居住地域、職業、役職、趣味・趣向、休日の過ごし方、好きなテレビ番組やWebサイト、習慣、所持するパソコンやモバイルデバイス、その他、開発する製品に関連する情報などがあげられます。
●利用シーン(いつ・どこで・どのように利用されるか)
開発する製品が、いつ、どこで、どのように利用されるかを明確化します。基本的な利用シーンに限らず、「こんな時も使えるよね」とか、「こんな風に使ったら面白いよね」など、多角的な視点であらゆる利用シーンを想定していくのがポイントです。
●ベネフィット(顧客が得られる価値は何か)
マーケティングにおけるベネフィットは、「顧客が製品・サービスから得られる恩恵や付加価値」を指しています。混合しやすい概念に「メリット」がありますが、メリットは製品・サービスそのものの特徴や価値を指しています。痩せ薬に例えるとメリットは「痩せる」、ベネフィットは「モテる」になり、人事システムに例えるとメリットは「人事データを一元管理できる」、ベネフィットは「一元管理により現場での業務負荷やミスが減る」となります。メリットとベネフィットを正しく理解し、顧客のベネフィットを正しく設定することで、製品コンセプトをより明確に定義する事ができます。
消費者ニーズを反映する「製品戦略」
製品戦略を検討する場合、「自社の売りたい製品を販売する」という供給者の都合を優先させて売り込むセリングの発想ではなく、「お客様が買いたい製品を販売する」という発想が重要になっています。高度成長期は、大量生産・大量消費が行われ、“製品を作れば売れる” という時代でしたが、モノが溢れ、何でも手軽に手に入る成熟期を迎える日本の市場では、ユーザーは本当に欲しい物にしか興味を抱いてくれません。 製品戦略では、ターゲット市場のニーズを分析し、ユーザーが本当に欲しいと思う製品を開発し供給し続けることが重要なポイントです。
●製品戦略の要「ホールプロダクト」
製品戦略では、製品そのものの機能や性能だけではなく、パッケージ、容器、付随サービスなどを含め、より広義な「ホールプロダクト(Whole product:製品全体)」として製品をとらえていきます。なぜならば、顧客が求めている製品は、製品そのものだけではなく、製品に付随する全てを指して「製品」とするからです。
プロダクト3層モデル
プロダクト3層モデルとは、製品(product)の価値構造を「①中核」「②実体」「③付随機能」という3層に分けることで製品を分析するマーケティング・フレームワークです。アメリカの経営学社「フィリップ・コトラー」により考案されたこのモデルは、「製品の3層構造」または「コトラーの3層モデル」とも呼ばれています。
① 製品の中核
製品の本質的な価値にあたるのが「中核」と呼ばれる中心層です。消費者が実質的な機能として求め、購入するして得られる基本的なベネフィット(便益)を指しています。「消費者が製品を買う基本的な目的」というと分かりやすいかも知れません。自動車であれば「移動手段を得られる」、洋服であれば「寒さをしのげる」、スマホであれば「電話ができる、インターネットが見られる」などが例として挙げられます。
② 製品の実体
実際に販売されている製品そのものにあたるのが「実体」と呼ばれる中心層を囲む2段目の階層です。「機能」「品質」「性能」「スタイル」「パッケージ」そして「ブランド」など、消費者が入手する製品のあらゆる特性が含まれます。消費者の多くは、製品購入の際「実体」を重視して比較・検討を行います。
③ 製品の付随機能
消費者にとって、製品の価値を高める要素が「付随機能」と呼ばれる最も外側を取り囲む3段目の階層です。製品やサービスに付随する配達、設置、保障、アフターサービスなどが例としてあげられます。
プロダクト3層モデルで学ぶことは、「製品の中核」を見失わない、「製品の実体」が最も顧客が重視する点であり、製品を通して顧客に提供したい価値をしっかりと定める、そして選ばれるために必要な「製品の付随機能」をしっかりと整える、ということです。 ニーズの多様化する現代において消費者が、数ある製品から当該製品を選ぶ理由は「自身の欲求を満たせるか」という1点に帰結すると言えます。だからこそメーカーは、製品製造の際にセグメンテーションからコアターゲットを定め、明確なコンセプトがまっすぐ、強く伝わるよう、3層モデルをしっかりと定めていく事が大切です。
製品特性を見据えたカテゴリー分類
マーケティングを行う上で製品は、その特性により有意義なカテゴリー分類を行う必要があります。なかでも、「物理的特性による分類(耐久財、非耐久財、サービス)」「購買行動による分類(最寄品、買回品、専門品)」「使用目的による分類(消費財、生産財・産業材)」などへの分類は、製品戦略を策定していくうえで重要な要素となります。
●物理的特徴による分類
➡︎非耐久財(Non-durable goods):食料品、飲料、文具 など
非耐久財とは、使用回数が少なく、使用期間も短い有形製品を指しており、一製品あたりの単価が安く、販売個数が多いのが特徴です。非耐久財のマーケティングでは、初期購入のみならず、継続的な購入を促すことが課題となり、そのためには継続的なマス広告での宣伝告知や、店頭での陳列シェア獲得が重要になってきます。
➡︎サービス(Service):宿泊施設、運送、美容 など
サービスとは、主に機能や人的対応を商品としたもので、無形製品を指しています。有形製品とは異なり、人が行う事柄を指すことから一定の製品クオリティを保つのが容易ではありません。また、生産=消費となることから、提供後の返品や交換もできません。形のない製品だけに信頼性の重要度が高く、リピーターを獲得することで高い収益性が可能となります。
●購買行動による分類
➡︎最寄品(Convenience goods):雑誌、電池、石鹸 など
最寄品とは、ユーザーが特別な労をかけずに頻繁に購入する製品を指しており、製品単価が低く、最寄りの店舗で購入されます。最寄品は突発的に購入される事が頻繁なことから、多くの店舗にできるだけ多くの製品を陳列してもらうことが製品販売の決め手となります。
➡︎買回品(Shopping goods):家具、電化製品、服飾品 など
買回品とは、ユーザーが複数の製品を比較・検討したうえで購入する製品を指しており、製品単価が高く、複数の店舗を回遊し、優位性の高い店舗でニーズに合った製品を購入します。買回品は耐久品であることが多いことから、一般的に価格と品質がKBF(key Buying Factor:購買決定要因)の決め手となります。
➡︎専門品(Specialty goods):高級ブランド製品、特定メーカー製品など
専門品とは、購入にあたりユーザーの趣向性や特別な知識を要する製品で、製品単価が高く販売店は限られますが、ユーザーの強い購買意欲によりその製品を指名買いします。競争力を保つためには、ブランド構築・維持を最優先課題としたマーケティング戦略が必要となってきます。
●使用目的による分類
➡︎消費財(Consumer goods):食料品、飲料、文具など
個人消費を目的に不特定多数のユーザーに向けて提供される製品を指しており、主にマス・マーケティングでユーザーにアピールしていきます。競合も多く、短期間で消費される製品が中心であることから、製品のもつイメージが製品購入のKBF(key Buying Factor:購買決定要因)となる傾向が強くあります。
➡︎生産財・産業材(Industry goods):製造機器、印刷機、工業機械など
事業者(生産者・政府機関など)などを対象に提供される製品を指しており、主に集中化型マーケティングでターゲットにアピールして行きます。消費財市場よりも客単価が高く小規模なのが特徴です。また、専門知識を有していることが多く、競合は少ないがコストパフォーマンスを客観的に比較・検討する傾向が強くあります。
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