市場拡大に向けた、自社史上最適な戦略を。

既存技術・サービスを活かした市場拡大マトリクスと、新技術・新製品導入による新市場開拓マトリクス。

Introduction

事業拡大マトリクスと多角化戦略

ITやAIの発展に伴い、めまぐるしく変化する市場に対し企業は、シェア獲得や新規市場の開拓など、売上向上に向けた次なる成長戦略の策定が常に求められています。市場は大きく、既存市場、新規市場の2軸に分けて考えることができ、製品は、既存製品、新規製品の2軸に分けて考えることができますが、各2軸を具現化して戦略策定に役立てるフレームワークのひとつに、ロシアの経済学者イゴール・アンゾフの提唱した「アンゾフの事業拡大(成長)マトリクス」があります。アンゾフの事業拡大マトリクスは、成長マトリクスとも呼ばれ、市場と製品を4象限のマトリクスで表し、この4象限から企業の成長戦略オプションの抽出を図ります。

アンゾフの事業拡大(成長)マトリクス

アンゾフの事業拡大(成長)マトリクスでは、縦軸に「市場」、横軸に「製品」を取り、それぞれ「既存」、「新規」の2つに区分します。こうしてできた4象限で企業の成長戦略を見た時、企業の成長には基本的に4つの考え方があると提唱しています。

➡︎第1象限:既存市場×既存製品で成長する(市場への浸透)

既存の製品を投入し、既存市場で成長を目指す場合、企業は消費者とのコミュニケーション強化を図り、認知拡大や興味の誘引を行うなど、積極的な販売促進活動から市場シェアの拡大を目指します。だだし、市場が成熟し飽和状態にある場合や、市場シェア率が既に高い場合などには、将来性のない施策となる可能性が高く、成長が困難であると言えます。成長が困難な状況にある場合は、既存製品に対し他社にはない圧倒的優位なサービスで差別化を図る、または既存顧客のブランド・ロイヤルティを今以上に高める施策として、既存製品のリブランディングなどが考えられます。
例えば、パソコンを開発・販売するメーカーがカスタマーセンターをさらに充実させ、セットアップからソフトウェアのインストール、さらには使用までをサポートすることで、製品の販売を後押しするなどがあり、そのサービスを製品のブランドイメージに付加することで、新たなブランドとして市場への浸透を図るなどが一例として考えられます。

➡第2象限:既存市場×新規製品で成長する(新製品の開発)

新規製品を投入し、既存市場で成長を目指す場合、企業は市場への積極的なプロモーション活動を図り、既存製品よりも新製品の方が魅力的であることをいかにして消費者に伝えることができるかが肝要です。次々と新製品を市場に投入する、清涼飲料水、ビール、インスタントラーメン、製菓などがこの現象に当てはまります。
第1現象と同様、成否を分けるポイントは、既存市場への浸透に向けたコンセプト策定とコミュニケーション戦略にあります。いかにして市場ニーズを掴み、トレンドを先読みできるかのマーケット分析も不可欠です。

➡︎第3象限:新規市場×既存製品で成長する(市場の開拓)

既存の製品を投入し、新規市場で成長を目指す場合、企業は自社製品のポジショニングやセグメンテーションの見直しを行い、コアターゲットのペルソナを設定するなど、マーケティング戦略の再定義が必要となります。また、ブランドコンセプトやブランドメッセージの再構築を行い、従来にない、新たなコミュニケーション戦略で市場拡大を目指します。
新規市場の開拓では、今までターゲットとしてこなかったターゲット層への販路拡大を目指すことから、従来あるブランドイメージに固執することなく新たな切り口を企画し、市場ニーズを念頭にブランドの再構築を図るとともに、消費者インサイトに響くよう、ブランド・バリューを打ち出すことが大切です。

➡第4象限:新規市場×新規製品で成長する(多角化)

新規製品を投入し、新規市場で成長を目指す場合、徹底したマーケティングリサーチから自社のポジショニング、ターゲットセグメントの策定、そして経営資源の集中投下と、最も緻密な戦略を要する「多角化」となります。新規製品での新規参入には、予期せぬ多くのリスクが潜む一方、大きなチャンスを掴むことができるとも言えます。
多角化では、企業は市場への積極的なコミュニケーション強化を図り、認知の拡大、関心・興味の誘因、そして共感へと導くことが大切です。全く未知の領域に参入するのではなく、主事業の周辺事業を模索し、現在ある人材や知識を応用して新規参入することのできる新規製品を開発することで、リスクを大幅に低減することができます。また、多角化戦略には具体的に4つのタイプがあるとされています。

多角化戦略 4つのタイプ

『水平型多角化』、『垂直型多角化』、『集中型多角化』、『コングロマリット型』など、多角化戦略にある具体的な4つのタイプをご紹介します。

●水平型多角化

同じ業種・分野で水平的に事業を拡大するパターン。例えば、オートバイを生産するホンダが自動車生産に進出した例や、自動車販売業者がレンタカー事業に進出するケースなどが考えられます。

●垂直型多角化

バリューチェーンの上流または下流へと事業進出を展開するパターン。製品製造を行うメーカーが直販店を構え販売事業に展開するケースや、仲卸を行う卸問屋が自社製品を開発、または販売するケースなどが考えられます。

●集中型多角化

中核となる技術に関連する分野に事業拡大を図るパターン。既存製品と新製品との間でマーケティングや技術の面で関連性を持たせ新たな市場に進出することにより、新規参入のハードルを低くすることができ、技術・人材・販売の効率化やブランド力などのシナジー効果を期待することができます。自動車メーカーが農業用トラクター事業に進出するケースや、携帯電話メーカーがデジタル時計を開発するケースなどが該当します。

●コングロマリット型

従来の事業領域とは全く異なる分野で、新しい製品やサービスを開発し、新市場への進出を図るパターン。この多角化は、従来事業とのシナジー効果が見込めないためリスクの高い戦略となることから、進出する市場の成長性が見込めることが重要となります。一方、事業が成功すれば、将来的な企業のリスク分散を図ることができます。カメラ関連事業を行う企業が化粧品や医薬品事業に進出したケースや、飲食事業を行う企業が美容室やエステサロンなど、全くの異業種に進出するケースなどが該当します。

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