ブランディングへの取り組み Case07.食品
ブランドの優位性を具現化する商品ブランディング。
新商品開発にあたり、コンセプト開発からブランド優位性の具現化を行った、食品の商品ブランディング事例を紹介します。
食品における商品ブランディングの必要性
選択肢が無数にある食品というジャンルにおいて、購買実績のない消費者に自社の商品が選ばれるためには、「ブランド価値の具現化」が不可欠であると言えます。原料、産地、機能性など、商品の機能的価値を高め、パッケージや店頭POPをはじめとするコミュニケーションツールで商品の情緒的価値を訴求することで選ばれるよう仕向けていきます。露出量が売上向上の鍵と言えますが、他社と差別化された付加価値の高い商品であるのはもちろんのこと、価格競争力も売上に多大な影響を及ぼします。
また、販売チャネルの質や広さも売上に多大な影響を及ぼします。コモディティ化された商品であればスーパーマーケット、コンビニ、個人商店など、いかに多くの店舗で取り扱いされるかが売上に直結します。
一方、知名度の決して高くない商品の場合、チャネルの量よりも質を重視する必要があります。例えば、「紀伊國屋」「明治屋」「成城石井」などの高級スーパーや、幅広い商品を取り扱う「KALDI」などでの取り扱いが挙げられます。その他、お土産として付加価値の高い「道の駅」や高速道路の「サービスエリア」なども選択肢として挙げられます。
「知名度+販売チャネル=市場シェア率」とも言える食品業界において、最も高い効果が期待できるプロモーション施策はメディアへの露出やTVCMやなどが挙げられますが、最も販促費を要する施策でもあるため容易ではありません。
それ以外にも価格優位性の訴求やSNSを活用したインフルエンサーマーケティングなどがありますが、いずれの施策においても、はじめに必要不可欠となるのが「商品ブランディング」です。商品の機能的価値・情緒的価値を定義し、商品リリース後に一貫したコミュニケーション施策を継続して行うことで、市場でのブランド価値を高めていくことが大切です。
商品ブランディングは独自性の言語化からはじまる
業種・業界を問わず商品ブランディングでは、ブランドの共通概念であるブランドコンセプト開発から手掛け、次いでタグライン、ブランドストーリーなどのメッセージシステムを構築していきます。なかにはVI開発(パッケージ/Webサイト/パンフレット制作など)を先行したいとご要望を受けることがありますが、ブランドデザインにおいて重要なのは「何をデザインするのか」を正しく定義することにあります。そのため、ブランドの中核となるメッセージシステムの言語化から独自性(商品の優位性)を正しく定義し、定義された独自性をデザインで具現化することが大切です。
食品業界のブランディング事例
これまでパドルデザインカンパニーが手掛けてきた食品業界のブランディング実績より、「株式会社蜂蜜工房/はちみつ工房/ピュアミード」、「株式会社アクアデザイン/Bio-Resonance Water」、「株式会社アクアデザイン/Resonance Oil」の3事例をご紹介します。各社ブランディングプロジェクトでは、ブランドコンセプトをはじめとするメッセージシステムの開発に次いで、VI開発(ロゴ開発、Webサイト制作、パンフレット作成、コンセプト動画制作など)を行い、一貫性のある商品ブランドの具現化を図りました。そしてブランディングは、今日現在も継続して取り組み続けています。
制作事例|株式会社蜂蜜工房|ピュアミード|商品ブランディング
添加物などを加えない100%はちみつの「純粋はちみつ」にこだわる株式会社蜂蜜工房。ミツバチの営みを学び、はちみつの生産現場を体験できる見学ツアーや、はちみつでつくったお酒「ミード」の工場見学ツアーを開催しています。「はちみつやミードのおいしさや魅力を五感で楽しむ」をテーマに、販売だけでなく体験にも力を入れています。
●ブランディングのポイント
施設の移転・リニューアルに伴い、施設コンセプト・ロゴ・新製品となる蜂蜜酒のネーミング・Webサイト・パッケージなど、はちみつ工房のリブランディングプロジェクトがキックオフしました。はちみつを販売するのではなく、はちみつ体験を提供・販売するという考えのもと、はちみつの「おいしさ」と、はちみつ工房の「楽しさ」を伝える、シンプルで誰にでも分かりやすく優しいクリエイティブ表現を目指しました。
●はちみつとミードの「はちみつ工房」
見学ツアーを通して、見たり、聞いたり、味わったりと、さまざまな体験ができるのがはちみつ工房の特長であり、強み。施設コンセプトでは、その強みをストレートに表現しました。また、新しく開発した蜂蜜酒「ミード」を、はちみつと同じように商品ブランドの主役にしたいというご要望を受け、施設名のショルダーに「はちみつ」と「ミード」を共存させました。
●コンセプト「はちみつを五感で楽しむ」をシンボルロゴに
「はちみつを五感で楽しむ」というコンセプトを5つの花びらで表現し、その花にミツバチがとまり、蜜を吸っている様子をロゴとしてデザインしました。キーカラーは、はちみつをイメージさせる明るいイエロー。落ち着いたグレーと組み合わせることで視認性を高め、柔らかく優しい印象になるようデザインしました。
●ブランドのこだわりを具現化するパッケージデザイン
はちみつのパッケージでは、はちみつ工房のロゴとはちみつの種類だけのシンプルな構成要素で、純粋はちみつにこだわるブランドイメージを表現。蜂蜜酒「ピュアミード」のパッケージは、しずくをかたどったマークをデザインし、はちみつと水だけで醸造された品質の高さや高純度なイメージを大切に表現しました。
●ピュアミード|プレーン
●ピュアミード|りんご
●ピュアミード|ライチ
●ピュアミード|山椒
●特別な方への手土産「ギフトボックス」のデザイン
商品パッケージデザインに加え、ギフトボックスのパッケージもデザイン。特別な方への手土産として、清潔感のある上質なパッケージをデザインしました。
●素朴な中にも温かみを感じさせる、はちみつ工房らしい紙袋
はちみつやミードをご購入いただいたお客様にお渡しする紙袋を制作。施設名とロゴマークのみのシンプルなデザインを印刷した、クラフト紙のようなやさしい紙質の紙袋としました。素朴な中にも温かみを感じさせる、はちみつ工房らしい紙袋に仕上がりました。
●蜂蜜酒「ピュアミード」のブランドサイト
100%の純粋はちみつにこだわり作られた蜂蜜酒「ピュアミード」のブランドサイトを制作。世界最古のお酒と言われる蜂蜜酒「ミード」は、1万年以上も前から存在していたとされていますが、日本ではあまり馴染みのないお酒でもあります。そこで、ミードの歴史について深掘りし、どんなシーンに相応しいお酒なのかを紹介。また、素材や製法へのこだわりと共に、生産者の想いを伝えるコンテンツを設けました。他にも、ミードに合うレシピを紹介するなど、より深く、興味を持って頂けるような構成を目指しました。
●上質で洗練されたリーフレットデザイン
蜂蜜酒「ピュアミード」をギフト用に購入されるお客様向けに、ギフトボックスに同梱するリーフレットを制作。ジャバラ仕様で、片面は「はちみつ工房について」、もう片面で蜂蜜酒「ミードについて」を訴求する構成としました。白基調の上質で洗練されたイメージにデザインしています。
制作事例|株式会社アクアデザイン|Resonance Oil|商品ブランディング
「健康にイノベーションを。」をブランドコンセプトに掲げ、ウォーターサーバー事業、酸素事業、除菌水事業、機能水・機能性商材事業、プラント事業、そしてTERAQOL®️事業を行う株式会社アクアデザイン。30年以上に渡り、水ビジネスに携わってきた代表が立ち上げ、開発責任者として就任した企業です。同社の営む独自性の高い事業なかでも国際特許申請中のTERAQOL®️技術は、周波数をモノの中に留め置くことで、物質を変容される世界初の技術。食品や食用油をはじめ、様々な物質の酸化還元により製品寿命を大きく飛躍させることができます。このTERAQOL®️技術を用いて、あらゆる業界にイノベーションを巻き起こしています。
●ブランディングのポイント
TERAQOL®️のキープフレッシュ製法と、過熱蒸気水を利用した酸化還元製法を施し、過熱しても酸化・劣化しづらい食用油がこの「Resonance Oil(レゾナンスオイル)」。酸化・劣化しにくく、素材への油の吸収を30%低減するため、胸焼けしにくいのが特徴です。また、食品からの摂取が必要となる「オメガ3系脂肪酸」や「オメガ6系脂肪酸」をベストなバランスで含むことから、美容と健康にも適していると言えます。とても上質で高級なオイルのため、ブランドの優位性をデザインで伝えることが最も重要なポイントでした。
●「美容と健康をつくる食用オイル」伝えるパッケージデザイン
TERAQOL®️技術、キープフレッシュ製法、酸化還元製法のキーワードをイメージしてデザインされたレゾナンスオイルのパッケージデザイン。TERAQOL®️技術で施す振動をキービジュアルに、美容と健康、そして上質と高級をデザインで表現しました。
●見やすく、使いやすく。そして美しいブランドサイト
レゾナンスオイルのブランドサイト制作時のポイントは、まずは見やすいこと。多くの説明を要する説明商品だけに、いかに見やすく情報をまとめるかに特に注意してデザインを行いました。次にユーザビリティ。消費者とのタッチポイントの核となるブランドサイトだからこそ、多くの情報があっても使いやすいWebサイトであるよう配慮しました。そして、美しさ。コアターゲットとなる20代後半から40代女性が「美容と健康をつくる」を感じて頂けるよう、清潔感のあるホワイトベースにオイルをイメージしたイエローブラウンを挿し色とすることで、美しいデザインに仕上げています。
●ブランドのこだわりをデザインしたリーフレット
新鮮な「オメガ3系オイル」を豊富に含み、加熱しても酸化・劣化・変性しづらい天然の食用オイルResonance Oil(レゾナンスオイル)リーフレット制作実績です。レゾナンスオイルは、栄養素ごと化学薬品を一切使わず絞った天然の最高級原料に、鮮度保持と酸化・劣化を防ぐ特殊技術であるTERAQOL®️加工のされた最高級の食用オイル。素材への油の吸収を30%低減することで太りづらく、安心・安全に徹底的にこだわり作られています。そんなこだわりをリーフレットデザインとして美しく表現しました。
制作事例|株式会社アクアデザイン|Bio-Resonance Water|商品ブランディング
「健康にイノベーションを。」をブランドコンセプトに掲げ、ウォーターサーバー事業、酸素事業、除菌水事業、機能水・機能性商材事業、プラント事業、そしてTERAQOL®️事業を行う株式会社アクアデザイン。30年以上に渡り、水ビジネスに携わってきた代表が立ち上げ、開発責任者として就任した企業です。同社の営む独自性の高い事業なかでも国際特許申請中のTERAQOL®️技術は、周波数をモノの中に留め置くことで、物質を変容される世界初の技術。食品や食用油をはじめ、様々な物質の酸化還元により製品寿命を大きく飛躍させることができます。このTERAQOL®️技術を用いて、あらゆる業界にイノベーションを巻き起こしています。
●ブランディングのポイント
TERAQOL®️技術を用いて、テラヘルツ波とソルフェジオ周波数を水に留め置いた、まったく新しい健康水がこの「Bio-Resonance Water(バイオレゾナンスウォーター)」。振動、そして周波数の領域は、科学要素が強く、難解な情報入稿から制作がスタートしましたが、一般消費者にも商品の魅力や優位性が分かりやすく伝わるよう、すべての原稿をリライトし、映像・写真・図解などを用いて表現。商品の特徴である「振動や周波数」が伝わるようデザインしました。
「飲むほどに美しく、健康になる水」を伝えるパッケージデザイン
TERAQOL®️技術、テラヘルツ波、ソルフェジオ周波数のキーワードをイメージしてデザインされたバイオレゾナンスウォーターのパッケージデザイン。「飲むほどに美しく、健康になる水」をパステルカラーのグラデーションで表現しました。
●見やすく、使いやすく。そして美しいブランドサイト
バイオレゾナンスウォーターのブランドサイト制作時のポイントは、まずは見やすいこと。多くの説明を要する説明商品だけに、いかに見やすく情報をまとめるかに特に注意してデザインを行いました。次にユーザビリティ。消費者とのタッチポイントの核となるブランドサイトだからこそ、多くの情報があっても使いやすいWebサイトであるよう配慮しました。そして、美しさ。コアターゲットとなる20代後半から40代女性が「飲むほどに美しく、健康になる水」を感じて頂けるよう、清潔感のあるホワイトベースにパステルカラーを挿し色とすることで、美しいデザインに仕上げています。
●ブランドの特徴をデザインしたリーフレット
からだの振動を整えることで、健康で美しいカラダをつくるBio-Resonance Water(バイオレゾナンスウォーター)リーフレット制作実績です。TERAQOL®️加工されたミネラルウォーターは、慢性的に不足するマグネシウムを摂取することができ、美容と健康、そして若々しさをサポートします。いつまでも美しく輝くこと。そんなブランドの特徴をデザインで表現しています。
商品ブランディング成功の要因は、ブランドコンセプトの言語化とデザイン
商品ブランディングにおいて最も大切なのは、ブランドコンセプトとデザインでブランドの世界観を正しく具現化することで、他社商品との明らかな違いを打ち出すことにあります。そして、一貫したブランドコミュニケーションを継続することで、ブランドのファン層を獲得し、ロイヤルティを高めていくことにあります。
冒頭でお伝えした通り、熾烈な競争が繰り広げられる食品業界の市場シェア率は「知名度+販売チャネル=市場シェア率」と言えますが、売上重視の一過性のプロモーションだけでなく、まずは正しく商品ブランディングを行うことが成功への第一歩であることは言うまでもありません。
一朝一夕では成し得ないブランディングですが、市場で選ばれ続ける商品ブランドを時間をかけて築き上げることが、中長期的に成長する強い企業づくりへとつながります。
経営資源が潤沢でない中小企業は特に、企業・商品の根本的な価値創出(ブランディング)を図ることがビジネス成功の秘訣です。